2話彼 ページ4
入学式終了後。
そもそも、こんなへてコリンな苗字にされたのは両親のせい。
正確には母親が原因だ。
父からすれば日本は何年ぶりかの帰国。
せっかくだから家族で出かけようという父の提案により、日本の風景をのんびりと眺められる小舟の観光を選んだ。
その時、川の水面から突き出る木の枝に一羽の野鳥が止まった。
鮮やかな翡翠色と腹の黄色が特徴的だ。
実際に見たのは初めてだが、ロシアにもカワセミは生息しており特に珍しくもない。
私はいつも通りに一瞥して終えた。
しかし、母の目は無垢な子どもと同じようにキラキラとしている。
…嫌な予感がした。
すっかりその鳥に心を奪われた母は父に頼んで苗字にしてしまったのだ。
おとなの事情で日本で名乗る姓を考えていると聞いてはいたがこんな形で返ってくるとは…。
A「はあ…」
下駄箱から靴を取り出す。
今まで通り目立たないように。
人との接点は減らしていこう。
「君！ちょっと待って！」
そう思った矢先に、彼は現れた。
A「…なんか用？」
誰かに話しかけられれば無表情を貼り付け、冷たくあしらう。
「あ、えっと…
あのさ、その持ってる上履き
俺のだったりしない？」
は…？
何を言っているんだこの人は、サイズを確認しても私のと一緒…。
「これ、横の名前が全然違うんだけどさ。
えっと…翡翠(かわせみ)さん…だっけ？悪ィサイズ同じだから履いちゃったけど…」
彼の持っていた上履きの横には紛れもない私の名前が書いてある。
即座に上履きを取りかえ、名前を呼ばれたことと自分の失態に再び顔を赤面させた。
「…プッ、アハハハ！！」
彼は呆然とした後、満面の笑みで笑い出した。
A「な、何笑ってるのよ！そんなに可笑しい！？」
初めて人前で声を荒げた。
「ご、ごめんな。
なんか、自己紹介の時も近寄り難い雰囲気でさ…今の反応見たらそうでもないのかなって。
もっと笑ってみろよ？」
そういえば、この人見憶えあるな。えっと…。
「俺、城田真昼。同じクラスだよな？これから一年よろしく！」
と、手を差し伸べる城田君。
彼の明るく無垢な笑顔や言葉に逆らえず、自然に握手をしてしまう。
A「…よろしく」
真昼「おう、今度は間違えんなよ？
じゃあまた明日！」
そう言い残して去ってしまった。
また明日なんて言われた事ないし、ましてや異性に触れたこともない。
握った手の温もりはまだ残っていて。
ずっと冷めなかったことを今でも覚えている。
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ナタデココ(プロフ) - 夢主の本性がどのようにバレるのか､果たしてバレないのか、今から楽しみです！！ (2016年9月13日 21時) (
レス) id: 67a39a2c5a (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー(プロフ) - 黒乃栖+眞姫那@虚飾.og66661akasim.liarさん» コメントありがとうございます！更新停止の予定は無いのでご安心下さい^_^ただ、学生であるため土日の方が多く更新することがあります。とても励みになりました！これからも頑張りますね( ´ ▽ ` )ﾉ (2016年9月10日 9時) (レス) id: a1258340ec (このIDを非表示/違反報告)
黒乃栖+眞姫那@虚飾.og66661akasim.liar - とっても面白かったです！更新頑張ってください!!応援しています!続き待ってます！更新停止だけはやめてください…！ (2016年9月9日 23時) (レス) id: 1536a576c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レモンティー | 作成日時：2016年7月25日 13時
