とりあえず好き。 (ページ3)

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それしか頭に無いページ3

学校までは電車で20分程度。

ほとんどが座れず立ったまま20分を過ごすが今日は１つだけ席が空いていた。

真が座ってその上に俺が座りたい。だけど俺も軽いわけでは無いのだから真に申し訳ない。こんな時に体重45キロくらいの小さくて可愛い女になりたいと思う。

「A座る？」

「え？あ、ありがとう」

考え事をしていて変に気の無い返事をしてしまう。
ああ、かなり嬉しいのに、伝えたいこの気持ち。

もっと真を好きになれたら、伝えられるだろうか。

Aのほぼ上限に達している真への愛は、軽く上限突破する勢いだ。

抜け殻のように動かないAを見て真は名案を思いついた。

「っわ、え？重い、でも良い」

「何か言った？」

「うん」

普通逆だろ、と思う周囲を完全に無視して真はそのままAの膝に座ってスマホをいじりだした。

真の大きい背中で前が見えない。
真の大きい背中しか、見えない。

真は俺の喜ぶことばかりしてくれて、俺は真にちゃんとお返しできているだろうか。

爽やかで少し甘いシトラス系の柔軟剤の香りが幸せだ。

「真って俺の考えてることわかるの？」

「え？俺に関する事ならわかるけど他は無理」

真のお腹側に手を回してぎゅっと抱きつくと、俺の手より一回り大きい手がそこに重ねられる。

背中側から小さな声で「好き」と伝えられてお返しに少しの間振り向いて耳元で「俺も好きだよ」と呟く。

お前俺のことしか考えてないよなぁ、と心の中で笑う。
俺のことだけ見て俺の声だけ聞いて俺のことだけ考えてるお前が、好き。