とりあえず好き。 (ページ2)

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構って欲しい！ページ2

真が本気でキスを始めたためにいつもより少し遅い起床となった。
マンションの隣の部屋に住む真は毎日早くに起きて俺の部屋にきてくれる。

朝早くに出勤する母は1人で起きられない俺を幼馴染の真に起こしてもらう代わりに、毎日朝ごはんを真の分も作っていた。

「今日はピザトーストって」

トースターにそれを突っ込みスイッチのつまみを捻りその間に着替えて戻ると「おいで」と手招きされる。

真の「おいで」という声はAに必ず行かなければいけないような気にさせた。

それにジェスチャーが加わるとAには断るという選択肢が消され如何なる時でも呼ばれたらすぐ行った。

真の器用な手が俺のネクタイを綺麗に形作る。

中学は学ランでネクタイを締める習慣がなく、今までネクタイをまともに結べた記憶はない俺はこうして毎日、真に直される。

「A、覚える気ないだろ。構って欲しいの？」

ぎゅ、とネクタイを締められる。
自分で着るときはシャツの第一ボタンを外しているが真が第一ボタンまで閉められるためにきつく調整されたネクタイが首を圧迫した。

Aは小さく首をふり少し俯いて上目遣いに真を見る。

「…できたら真に褒めてもらえるかと思って、覚えようとした、けど、」

「けど？」

「けど…」

整えられたネクタイの結び目を弄び口ごもるAの顔を両手でつつみ、強制的に上を向かせる。

ぱっと目が合ったのでいたずらに笑ってみせると手の中の可愛いAはすぐに赤くなる。

「っ真が、結んでくれるの、嬉しくて」

「恥ずかしいから見んな！」と言ってAは羞恥心に耐えられず顔を隠してしまうが、そうすると真の顔が見れなくなってしまうため目元だけを見せる。

「まあでも、構ってだね」

「うん。構って。もっと」

「ピザトースト焦げる焦げる」と焦って手の中から消えた彼氏。可愛くて可愛くて可愛い。

よく焼けてチーズがとろりとパンの淵から溢れるのを行儀悪くチーズだけ食べるAを見て真はつくづく思う。

何をしていても可愛い。