173話 ページ34
『関係あるわ』
「あ？」
てっきりいつものように暴言で応戦されるかと思っていたので拍子抜けした。
『好きな女が寝込んでたら心配すんだろーが』
加えて思いっきりカウンターを食らった。
なんか最近包み隠さなくなってきてない？
そういうのは心の内に秘めといて欲しいんだけど。リアクションできないから。
本当は少し気付いていた。
しつこく連絡をしてきたのも、いつもに比べてほんの少しだけど声が優しい気がするのも、心配してのこいつなりの気遣いなのかな、と。
まあでも勘違いだったら、私は世紀の脳内お花畑浮かれ女になってしまうので、可能性を排除してたんだけど。
が、こうしてはっきりと言われてしまうと逆に困る。
なんて返そうか必死で考えるが、熱のせいもあるのか普段より頭が回らず、つい黙ってしまう。
通話で起こる沈黙ほど気まずいものはない。
沈黙前の会話も内容が内容だし。
と思っていると向こうが先にこの静寂を破った。
『なんとか言えや』
「…なんも言えねえ」
つい、いつかの流行語が出た。
あの時の金メダリストもこんな気持ちだったのかな。
いや違うか。
『相変わらずすっとぼけたこと言いやがって』
「いろいろあるけど相変わらずってとこがまず不満だわ。つーか返しづらいこと言ってくる方が悪いでしょ」
ベストアンサーは何なのこれ。
教えて、知恵袋。
『言っとかねえとすぐ忘れんだろてめーは』
「…私の記憶力を舐めすぎだと思うけど、ちゃんと覚えてるし。それにこんなちょくちょく言われたら、こっちがぎこちなくなるわ」
さすがに告白されたことを忘れるほど重症な記憶力はしてない。
というかこの話題を何回も出さないで。
無神経で有名な私も一応気にするからね、ギクシャクしてしまうからね。
『それで良いんだよ、せいぜい意識しとけや』
「ええ…」
まじか、それが狙いだったの。
なんて策略家だ、見事にのせられてるわ。
『とりあえず早よ風邪治せ。なんか食って薬飲め』
「え…ああ、はい」
『熱高えんだから安静にしとけよ』
「はいはい、分かってるよ」
『ダラダラ起きてねぇでさっさと寝ろ』
「大丈夫だって、お節介だな母ちゃんは」
『誰が母ちゃんだ！テメェ治ったら覚えてろよ』
「調子乗ってました、すみませんでした」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1249人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まり - めちゃくちゃ面白いです…！一気読みしました。佐倉ちゃんの誕生日が自分と同じでテンション上がりました！ (2021年6月24日 14時) (
レス) id: 477cae400a (このIDを非表示/違反報告)
エルマー(プロフ) - ゆうさん» とても嬉しいです！応援ありがとうございます！頑張ります (2021年5月30日 16時) (レス) id: 340dba18fb (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - いつも楽しく拝見してます、、！続編嬉しいです！完結まで応援してます！！完結しても読み返します！！ (2021年5月22日 11時) (レス) id: 1f46a5e721 (このIDを非表示/違反報告)
エルマー(プロフ) - ハルカさん» コメントありがとうございます。私の好きなタイプの子を書いてるつもりなのでそう言っていただけて嬉しいです！ (2021年5月11日 12時) (レス) id: 340dba18fb (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - こーゆう性格の主人公めっちゃ好き (2021年5月8日 14時) (レス) id: 6f3fd88438 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エルマー | 作成日時：2021年2月11日 7時
