赤目の少女と王子様～Part 2～ (ページ35)

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☆84話★ ページ35

『えーっと…あ、あった』

“四天宝寺テニスノート”と書かれたノートを見つけ私は急ぎ足で部室から出た

コートに向かおうと走っていると、「白羽～」と呼ばれた

渡邊「救急箱包帯がもうあらへんから保健室から取ってきてくれへんか？白石がめっちゃ使ってしまうねん」

声をかけてきたのはオサムさんだったらしい

『分かりました！任せてください』

渡邊「鍵は空いとるはずやで。急いどるのにスマンな。後で1こけしやるわ！」

『あ、はい(苦笑』

こけしに困りながらも私は走って保健室へ向かった

ーーー

ーー

ー

『失礼します』

…誰もいないみたいだ

私は包帯をいくつか持って保健室を出た

まだ昼過ぎだと言うのに、誰もいない学校は少し寂しさを漂わせている

(あ、こっちの方が近道かも…)

私は試合の結果を書かなきゃいけないので、謙也さんから教えてもらった近道をすることにした

〈この中庭を通れば誰よりも速くコートにたどり着けるで！俺と（人2）の秘密やからな！〉

(謙也さん、そう言ってたっけ…)

フッと微笑みながら私は中庭へ向かった

？？「……だが」

『…ん？』

誰もいないはずの中庭で声が聞こえた

(誰だろ…1人…いや、2人いる。なんでこんなところに)

私はとっさに隠れて耳を傾けた

聞こえてきた声は私の聞き覚えのある声だった

跡部「実は……なん…が」

白石「そ……ホンマ…か」

『え…！』

つい声が出てしまいバッと口を押さえた

チラッと見るとどうやら気づかれてないようだ

(なんで、なんで景吾さんと蔵ノ介さんが…それに…それに)

私は聞こえてしまったのだ

景吾さんの言葉を…

跡部「実は“上代雪”のことなんだが…」

“上代雪”…私を…

裏切った人の名を…

聞いてしまったのだ