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次はなにしてやろうかと頬をつつきながら考え、あまりにも無防備過ぎる姿に笑いが込み上げてくる。
こうやって遊ばれていることを知ったら彼女はきっと頬をいっぱいに膨らませて怒るはずだ。
それも可愛いのだが、きっと今日のイタズラはルクが口にしない限り露見することすら無いだろう。
今度は上半身を屈めて頬擦りをしてみた。
もちもちとした弾力があって心地よいのはもちろんだが、顔と顔をここまで近づけるとなると少し特別な気持ちになれるから好きだ。
彼女が起きているときに無意味に顔を近づけると、凄い勢いで逃げていくものだから、あまりこういったことはできない。
今だってまるで襲っているかのような体制でいるものだから、いま目を覚ましてしまえばその拍子にキャーなんて叫ばれるかもしれないが、それもきっと楽しいだろう。
「んー血は不味いけど、A自体は美味しそうなんだよなぁ。…何て言うか美味しそうな肉付きしてるし……」
たまらなくなってつい無防備な首を甘噛みする。
牙を立てず、肌だけを摘まむ感覚のそれ。
今この瞬間、Aの命をも握っているかのような感覚は支配欲を満たす。
牙を柔らかな肌に引っ掻けないよう、注意を払いながら口に含んでみたり、牙を滑らせてみたり。
端から見ればかなり異様な光景なのは間違いない。
他の吸血鬼ですらこんなことをする者は居ないはずだ。
「食べたくなるほど可愛いってやつ…?」
近々この肌の温かさを感じられなくなる日が来ても、きっと彼女は"美味しそう"なままだ。
ぱくり、ぱくりと甘噛みを繰り返していると、流石のAも異変に気づいたらしい。
喉が動く気配がして顔を離せば、やはり黒曜石の瞳が開かれていた。
残念ながらイタズラをする時間は終わりだ。
「おはよう、A」
「ルク…?わたし、寝てた?」
「それはもう気持ち良さそうに」
ゆっくりと体を起こして寝ぼけ眼を擦っているAにクスクスと笑いながら唇を重ねてやると彼女は無理矢理に意識を一気に覚醒させた。
そして、もう一度唇を重ねながら小さい身体へと体重をかけてしまえばベットへと簡単に逆戻りする。
言い眺めだと言わんばかりに彼女の頭の両脇へ肘をついて頭を撫でるとぷっと膨れた頬とあまりの羞恥心で涙を溜める様がじっくりと見れた。
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ぽっぽ(プロフ) - 続きが楽しみです!!! (2021年3月22日 23時) (レス) id: 16e5bc7bb2 (このIDを非表示/違反報告)
mami20030804(プロフ) - ルク様の小説がなかなかなくて悲しかったのですが、久々に占ツクを開いてみたら面白そうなお話が上がっていたので読んでみると本当に面白くて最初から最後まで1日で読んでしまいました。毎日今日は更新してるかなと気になって毎日開いています(^^) (2021年3月10日 22時) (レス) id: be7fc41ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きが読みたい!!(クソデカボイス) (2021年2月5日 7時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2021年1月25日 1時