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「大丈夫だよ、大丈夫」
元はと言えば全てAの我が儘なのだ。
ルクと共にあるという願いのためだけに彼に全ての責を負わせたくない。
そう思って願ったこと。
小さく息を吐き出してAは胸のうちを晒け出すように語り始めた。
胸につかえて取れなかったものも全て押し出すかのように。
そして、ウルドと話したことや、常に抱えていた守られているという罪悪感について。
今まで彼の前で口にするにははばかられた物事を全て彼に晒した。
すると、ルクは笑った。
少し弱々しかったが、それでも精一杯の笑みだ。
少し恥ずかしくなってきて頬が赤く染まっているAには気づいてもいないようで、やはり彼は手一杯だったのだと感じた。
「はは……お前すっげぇめんどくせぇ」
「人間は色々考えることがあったの」
「お前ももう人間じゃないけどなぁ」
再び布団を引き上げようとすると、目敏く気付いた彼はガタと椅子を立ちそれを阻止した。
赤い瞳が見下ろしてくる。
掛け布団という唯一の防御手段を抑えられ、手も布団の中にあるため動けない。
「俺はお前を後悔させない。例え何があってもこの選択を間違えたなんて言わせないから安心しろよ」
「後悔なんて、しないもん」
「そうかそうか、いい子だなぁ」
「ぅ〜子供扱いしないで」
ぷっと頬を膨らませるAの唇にむにむにと長い指を押し付けるルク。
抵抗できない彼女へと一方的な悪戯をしながらもそう言うところが子供っぽいんだよ、と言わんばかりである。
すっかり普段と変わらない様子に戻ったルクを見て安堵感を覚えながらも、Aは少し素直になれずにいた。
唇を揉むかのように押し付けられる指を受け止めながらも、しかめっ面と膨れた頬はそのまま。
「少しいじめ過ぎたな。こっちの方が好きか?」
そっと寄せられた唇には応じる。
我ながら現金なと思いつつも優しく与えられる甘い刺激に脳が溶かされていくのだ。
いつの間にか自由になっていた腕をルクの後頭部に絡めながら、息つく間も与えられない少し強引さを感じる唇をひたすら受け止める。
病み上がり…とはいかないものの、命に関わる怪我を負っていたと考えれば少し自重しなければならない筈なのだが、吸血鬼へと身を堕としたAには今や関係の無いことだ。
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ぽっぽ(プロフ) - 続きが楽しみです!!! (2021年3月22日 23時) (レス) id: 16e5bc7bb2 (このIDを非表示/違反報告)
mami20030804(プロフ) - ルク様の小説がなかなかなくて悲しかったのですが、久々に占ツクを開いてみたら面白そうなお話が上がっていたので読んでみると本当に面白くて最初から最後まで1日で読んでしまいました。毎日今日は更新してるかなと気になって毎日開いています(^^) (2021年3月10日 22時) (レス) id: be7fc41ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きが読みたい!!(クソデカボイス) (2021年2月5日 7時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2021年1月25日 1時