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身を清められ、静かに寝息を立てて眠るAの顔は安らかだ。


ルクが部屋に踏み込んで、一番に向かったのはもちろんAの元だった。
ベットの傍らでその横顔を見て少し安心した。


未だ、苦しみに叫び声を上げた彼女の表情も声も全ての光景が脳裏に焼き付いて離れない。
果たしてこの先、人間であるAを殺した罪を背負いながら生きられるのか不安なのは確かだ。


ウルドの血を飲ませるという約束を破り、一方的に罪を背負ったルクは目覚めたAに許されるのかと問うしかない。


無意識に頬へと手を伸ばそうとするも、その手がまだ真っ赤なことに気付き慌てて引っ込める。


せっかく綺麗に整えてもらったAをルクが汚しては意味がない。
それが原因で触れられないのはやはり、少しもどかしい。









手の届かないくらいの少し遠い距離で、何やらごそごそと音が聞こえる。
聞き慣れない音____否、聞こえ過ぎている聞き慣れた音だ。


馴染みのない感覚が、まるで着なれていない服ものようで何となく心地が悪い。
それは寝返りをうっても止まず、ついには遮るように布団を頭から被ってしまった。




「お、起きたか?」




ルクの声だ。
足音もする。
どうやら彼は部屋の中に居たらしく、先ほど聞こえた音も彼の衣擦れの音だったようだ。


僅かに緊張した胸を撫で下ろし、今しがた頭まで被りきった布団を引き下げた。
やはり、世界が違う。


見える世界も、聞こえる音も、全てがまるっきり違っていた。
空気の振動が見える。
微弱な物音も聞こえる。


しばらくの間、見たこともない美しい世界に唖然としていると、ルクの目が優しく見守るようにしてこちらを見ていたことに気づく。
ジャケットを着込んでいない姿を見るのは久しぶりで、少しいつもとは違う雰囲気の彼にAは目を丸くした。




「…大丈夫か?」

「何か、変なの……私がいつも見てる世界じゃないみたい」




そうだよな、と歯切れ悪く相槌をした彼は少し困っているようだった。


自分の身に何かが起きたのは確かだがルクにそんな顔をさせるのは正直な話、不本意だ。
彼を積極的に困らせたい訳ではない。


できるなら優しく笑って、頭を撫でてほしい。
いつも彼が早朝の起き抜けにするみたいに。

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ぽっぽ(プロフ) - 続きが楽しみです!!! (2021年3月22日 23時) (レス) id: 16e5bc7bb2 (このIDを非表示/違反報告)
mami20030804(プロフ) - ルク様の小説がなかなかなくて悲しかったのですが、久々に占ツクを開いてみたら面白そうなお話が上がっていたので読んでみると本当に面白くて最初から最後まで1日で読んでしまいました。毎日今日は更新してるかなと気になって毎日開いています(^^) (2021年3月10日 22時) (レス) id: be7fc41ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きが読みたい!!(クソデカボイス) (2021年2月5日 7時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2021年1月25日 1時

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