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「ウルド様との約束がある日だ」




前に聞かされた、Aの今後を決める期限である約束の日。


それは思いの外、目前に迫っていた。




「もうお前が心に決めてるってならウルド様に頼めばいいと思う。ただ、きちんと話をしてからにしたい」




いつも以上に真剣な面持ちのルクに尻込みしつつも、Aはおずおずと頷いた。


ルクはこうして"期限"についてAと話し合うことは何となく避けていた。
どう言い出すのが正解か、彼女にどう説明すれば良いのか、よく分からないでいたのだ。


ただ、彼女はルクがロシアを空けた数日でルクがしなければいけなかった話をウルドと済ませているらしかった。
それが唯一の救いだろう。
お陰で少し冷静になれた。


もうAの心が決まっているならば、あまり口を出さないでおこうと思う。
ただ、一つだけ、彼女には伝えなければならないことがある。


意を決してルクは酸素を取り込み、口を開いた。
少しだけ柄にもなく、緊張している。




「例え人間のままを選んでも、俺はお前がこの世界を去るその瞬間まで隣に居る。お前が望むならなんだってする。俺はお前のために例え短い時間でも一緒に生きていたいんだ」




膝の上で丸くなっているAの背を、頭を撫でながら、ルクは軽やかに歌うかのように熱い言葉を吐き出した。


僅かながらも空っぽな永遠を埋めてくれる存在が愛しくて堪らないのだ。


彼女をここに連れてきた時とは全く違う感情が今は胸にある。
これが浅はかな恋だろうと、気持ちに嘘はない。


すっと視線を落とせばルクの真っ直ぐな愛を受け止めてくれる彼女は彼の膝上で小さくなり、恥じらうように目を逸らす。


それを不覚にも愛らしい、なんて思ってしまう。
彼女は必死に隠しているようだが、耳まで真っ赤な時点で隠しきれてなどいない。


丁度良い高さにあるそれを意地悪半分、好奇心半分で唇に挟むと、Aはすっとんきょうな声を上げて驚いた。




「いっ、意地悪しないで!」

「ははは、悪い悪い」

「うぅ………」




今にも泣いてしまいそうなほどの涙を目に貯めて、恥じらう様を見れば少し緊張しながら吐いた言葉はきちんと彼女に伝わっているのだ。

ほんの少し幸せな心地になれた。

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ぽっぽ(プロフ) - 続きが楽しみです!!! (2021年3月22日 23時) (レス) id: 16e5bc7bb2 (このIDを非表示/違反報告)
mami20030804(プロフ) - ルク様の小説がなかなかなくて悲しかったのですが、久々に占ツクを開いてみたら面白そうなお話が上がっていたので読んでみると本当に面白くて最初から最後まで1日で読んでしまいました。毎日今日は更新してるかなと気になって毎日開いています(^^) (2021年3月10日 22時) (レス) id: be7fc41ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きが読みたい!!(クソデカボイス) (2021年2月5日 7時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2021年1月25日 1時

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