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少しだけAの様子が気になった。
目を真っ赤に腫らして今頃は布団の中に居るであろう彼女は夢の中でなにを思っているのだろうか。
ふと窓の外を見る。
相変わらず荒廃した世界の姿がそこにはある。
窓枠に凭れぼんやり眺めていても何の感慨も浮かばない景色だが、今は酷く色褪せて見えた。
心がざわりと波立った。
純粋にAが心配だ。
知ったときの彼女の取り乱しようはとくに酷かっただろう。
側に居られないことが辛くないと言えば嘘になる。
だが、庇護すべきAにあんなことをしておいてもう戻れる筈はない。
少し落ち着かない胸をどうにか抑えるため、Aの様子をちらりと伺いに行こう。
気づかれないよう、すぐに帰れば問題ない。
彼女の部屋の合鍵をズボンのポケットに忍ばせたルクは強ばっていた頬を僅かに緩めた。
そろりと最小限開けたドアから体を滑り込ませ、今までよりも幾分か小さなベットに眠るAを見つけた。
手を伸ばし、乱れた前髪を整えてやるとAの睫毛が酷く濡れているのが分かる。
きっとつい先ほどまで彼女が瞳に貯めていた涙だろう。
こんなに酷いことをして平気なはずはなかった。
心が軋む。
「ごめんな、お前が側に居ると…また酷いことしそうなんだ」
ベットに腰掛けてだいぶ長く伸びたAの髪を、頭を撫でる。
贖罪とはいかないが、荒れる心を落ち着かせるための気休め程度にはなった。
これ以上は離れがたくなってしまう。
ルクがAのベットから腰を浮かそうと手をつくと、あろうことかAの手がその手を掴んだ。
起きてしまったのかとぎょっとするが、それは違ったようだ。
「お前…」
こうも無意識で距離を詰めてくる彼女に全てがどうでも良くなる瞬間がある。
同じ過ちを犯しそうになる瞬間がある。
それがルクの中にある危機感を煽るのだ。
「ごめん…A。俺は傷付けてばっかだな」
もう片方の手を握りしめる彼女の手に重ね、固く握りしめられていた指を一本ずつ優しくほどいていく。
そして手が開ききるとすっと手を引き、逃れた。
そのままベットから離れ、手袋をした指先で悲痛な面持ちのまま彼女の唇へと触れた。
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こんぺいとう(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます！新しいものはあと一週間くらいで公開できるかと思いますので、もう少しお待ち下さい〜！ (2021年1月21日 20時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - おもしろくて勢いよく読みました！！！続きが楽しみです！ (2021年1月20日 9時) (レス) id: f5136f3fcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年11月8日 21時
