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ルクの居ない間、時の進みは遅く、たったの四日間がまるで気の遠くなるほどの永遠のような実感で過ごしたAはこの頃にはすっかり元気が無くなっていた。
とりわけ、明日には戻るという連絡があった昨夜はまともに眠れていなかったのであろう。
ウルドはちらりと横に立つAを見やった。
うっすらと血色の悪い肌。
吸血鬼ほどではないが、とても不健康に見える。
あまりの顔色の悪さに、ここ二日ほどは用意されていた仕事もウルドに取り上げられ、自室に籠り、半分くらいの時間はベットの中で悶々と過ごしていたA。
二日ぶりの部屋の外の世界だった。
ウルドと共にワシリイの前に広がる赤の広場に立ち、ルクを出迎えた。
輸送機から降りてきた藍のジャケット姿に心が震える。
遠目に見た姿は傷一つも負っておらず、元気そうだ。
無事に彼が戻ったことではらりと瞳からは涙が零れ落ちた。
思わず顔を覆っていると、ルクが目の前に立ちAを呼ぶ。
久しぶりに鼓膜を揺らす心地の良い声。
それは吸血鬼と思えないほどに優しく、感情の込められた言葉だった。
「ただいま」
「お、おかえりなさい…！」
そのままルクの胸に飛び込み彼の存在を胸に刻んでいると、「報告は不要だ。明日でいい」という半ば呆れ気味なウルドの声が後ろから聞こえてきた。
正直、この配慮は有り難かった。
「んー？さすがに離れてた間に俺が恋しくなったか」
「寂しかった…」
消え入るくらいの声でルクの胸に額を押し付けながら答えたA。
彼は小さなその体を腕に抱き、もう一方の腕は彼女の頭を静かに往復して安心させる。
「悪かったな。離れた分の埋め合わせはこれからしてやるから、ちょっと落ち着けって」
胸元に顔を押し付けたまま、頑なに動こうとしないAの肩を押し、顔を覗き込む。
静かに流れる雫に唇を寄せて、食べてしまえば少しだけ気分が高揚した。
「約束通り無傷だ」
「…本当？」
「本当、ほんと」
にこりと笑いかければ、少しだけ表情が和らいだ。
ゆっくりと頭を、背を、撫でる手はその間も止まることはない。
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こんぺいとう(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます！新しいものはあと一週間くらいで公開できるかと思いますので、もう少しお待ち下さい〜！ (2021年1月21日 20時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - おもしろくて勢いよく読みました！！！続きが楽しみです！ (2021年1月20日 9時) (レス) id: f5136f3fcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年11月8日 21時
