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その後、慌ただしくルクを見送ってぽつんと一人で部屋に残されたAは突然の静けさに表情を沈めた。
ルクは最後に、必要であればウルドを頼れと言い残して行ってしまった。
短ければ二、三日。
長ければ数日。
ルクの居ない生活がしばらく続くと思うと少し憂鬱な気持ちになる。
このまま一人で部屋に居続けるより、ウルドの部屋で雑務を任せられて時間を忘れられる方がずっと良い。
そう考えたAは早速、仕事を探しにウルドの元へと向かった。
ウルドへルクが先ほど発ったことを伝えると、何か納得したかのように僅かな表情の動きがあった。
ただ人の気配のある場所に居たくてここに来てみたはいいが、やはりウルドを取り巻く雰囲気には慣れない。
「来たか」
「わかってたんですか？」
「大方、ルクが私を頼るように言ったんだろう。お前の分の仕事はそこにある」
ウルドが視線で示した先には見慣れた書類の山がある。
ルクはAが早々にウルドの元へ来ることを読んでここまで用意していたのだろうか。
彼女のことを最もよく知る吸血鬼はとても過保護で優しい。
ルクが居ない今も彼の配慮と愛情とが身に染みる今を噛みしめ、Aはいつものようにウルドの書類仕事を手伝うことにした。
雑務をさせはじめて数時間。
Aは片時も顔を上げることなく、ひたすら与えられた作業をこなしていた。
その姿を横目に、適度な休憩すらも挟まず没頭する彼女を不思議に思った。
吸血鬼ならいざ知らず、彼女は人間だ。
疲れも相応に覚える身体で、ただひたすら紙の山と向き合っている。
ルクが居るときでもこんなに長々と作業をさせない。
と言うより、ルクが彼女の目に自身が映らない事を不服としてちょっかいをかける為に、こうも長くは続かないのだ。
「少し休んだらどうだ」
見かねたウルドが声を掛けると、ゆっくり顔を上げたAは首を振った。
「大丈夫です」
「吸血鬼ならいざ知らず、お前は疲れを感じる人間だろう」
「ルクが居なくて落ち着かないので…」
そう困ったように眉を下げながら彼女は断った。
この返答には流石のウルドも想定外だったらしく怪訝な表情になる。
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こんぺいとう(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます！新しいものはあと一週間くらいで公開できるかと思いますので、もう少しお待ち下さい〜！ (2021年1月21日 20時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - おもしろくて勢いよく読みました！！！続きが楽しみです！ (2021年1月20日 9時) (レス) id: f5136f3fcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年11月8日 21時
