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「ちょっとだけ…離して」
「今度は離せって？わがままだなーもー」
仕方がないと同じ声音ではあるが、彼は一向に離そうとしない。
そればかりか、腕の力が強まるばかりである。
どうにか逃れようともがくも、加虐心に火をつけてしまったらしいルクはAに主導権を許さない。
ボタンも何も止めていない腰ひもだけのローブはそうしている間にも簡単に乱れてく。
まずいまずい、そう思っているAとは裏腹にルクはAの体の下に入れていたクッションを抜き取り、両手を抑え込むと簡単に彼女をベットに縫い止めた。
胸元が酷く乱れているローブにぎょっとする。
「っておい、襲わないからじっとしてろ」
「っ〜…！やだ、恥ずかしい」
「こら、暴れるな」
足をばたつかせるAに跨がって動きを封じたルクは唯一自由に動かせる片手で、そっと鎖骨の辺りに触れた。
そこは特に深い傷が残る位置だ。
「痛むか」
「だ、大丈夫」
しどろもどろになりながらも応えると、彼は慈しむように患部に冷たい唇をそっと寄せた。
瘡蓋ができているそこからは血の香りがまだする。
体を清めていても、血の香りはそう簡単には消えない。
血の香りに敏感な鼻を持つ吸血鬼であれば誰もが感じてしまうだろう。
「多分、傷が残る。一度の過ちにしては手酷い怪我を負わせたな」
そう呟いた彼はもう一度そこに、冷たい、慈愛の籠った口づけをした。
そして、Aの乱れたローブの襟元を正すとすぐさま彼女を解放した。
少しだけ離れていくルクが寂しくて、彼の袖を握ると優しく頬を撫でられる。
「一つ聞いて良いか。なんでお前はあの時抵抗しなかったんだ？叫ぶのだって我慢してただろ」
「ルクになら何されてもいいって、傷付いても側に居られるって証明したくて…食べられてもいいやって」
眉間にシワを作ったルクは不愉快そうに再び顔を歪める。
「食べられてもいいやってお前！！」
気がつけば信じられないほどの声量で叫んでいた。
その下でAは縮み上がったものの、彼はお構いなしだ。
普段は理性的なルクも、今回ばかりは肝が冷えたらしい。
表面上は何もない風を装っていながら、彼の声が不安定な心持ちを示していた。
この後、Aは前言撤回をしたルクにこってりと絞られることとなる。
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こんぺいとう(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます！新しいものはあと一週間くらいで公開できるかと思いますので、もう少しお待ち下さい〜！ (2021年1月21日 20時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - おもしろくて勢いよく読みました！！！続きが楽しみです！ (2021年1月20日 9時) (レス) id: f5136f3fcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年11月8日 21時
