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幾つもの歯形が瘡蓋となり、Aの首から肩にかけて残っていた。
殆んど傷口がふさがり、動くには支障が無いものの、首を動かすと同時に鈍い痛みが走る。
吸血鬼の吸血衝動とはここまで凄まじいのかと思い知らされる。
「…………ルク」
ウルドが語った後、ルクはAの元に現れることは無かった。
シャワーを軽く浴び、ローブのみを羽織った姿のまま処方された薬を水で煽った。
この薬は足りない血を補うための増血剤だという。
ルクに奪われたAは活動に支障をきたさないほど必要最低限の血も自力で賄えない状態だった。
少し休んで髪を乾かそう。
そう思って手近な椅子に座り、大きな鏡を見ながらタオルで水気を拭き取っていた最中、ドアが引かれる音がした。
正しくは蝶番の軋む音。
「_____」
姿の見えない訪問者に意味もなく緊張した。
脱衣場のドアを開け、外に出れば案の定想像した通りの人物がいる。
彼はAの姿を見ると顔を歪めた。
「…………A」
その呼び掛けにあえていつもの笑顔で応えようとした時だった。
「_____あ」
ふらりと体が傾いたと思えば、気がつけば力強い腕に抱かれていた。
だが、彼の後ろには何故か天井が映る。
視界が反転したのだろうか。
血が回らないAはどこかぼんやりとしていて、自身の状態がどうなっているのか上手く掴めない様子だ。
少し混乱しながら腕の中に居る##NAME1##にルクは苦笑した。
「大丈夫か」
「……うん？だ、いじょう、ぶ」
「大丈夫じゃないな」
ルクはそのままAを易々と持ち上げ、ベットに横たえた。
背に枕やクッションを挟み、体制を安定させた後に彼女を労るように頬を撫でる。
そして苦笑するかのように顔を歪めた。
目が覚めた時とは全く違うルクの反応にAは酷く混乱する。
あの深刻そうな顔は、一体なんだったのかと。
「ったく…最初は血を吸いすぎてぶっ倒れたのかと気が気じゃなかったのに、痛みで気を失ってたとか、ビックリしただろうが」
「…ぇ」
「相当ウルド様に怒られたらしいな」
「ぁ……うん……えっと、」
「俺も言いたいことは山ほどあるが、その半分以上はウルド様から聞いてるだろ」
あまりにいつも通りに接してくるルクに混乱していると、彼は軽快に笑った。
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こんぺいとう(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます！新しいものはあと一週間くらいで公開できるかと思いますので、もう少しお待ち下さい〜！ (2021年1月21日 20時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - おもしろくて勢いよく読みました！！！続きが楽しみです！ (2021年1月20日 9時) (レス) id: f5136f3fcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年11月8日 21時
