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「我々吸血鬼は呪われている」




ウルドのその一言をAは黙って受け止めた。




「何千年と変わらぬ姿で生き、その過程で心をも失う。そして血を主食とし、それが枯渇すれば醜い鬼となる。吸血鬼の味わう吸血衝動は痛いという言葉では言い表せないようなものだ」

「_____」

「理性で押し止めるなど到底不可能な苦しみが襲ってくる。それから逃れる方法はただ一つ。血を口にすることだ」




ウルドが語れば語るほど、血の気が引いた。


昨夜、Aがしでかしたことがどれだけルクにとって酷い仕打ちだったかなど、言葉にしなくともわかってしまう。


少なくとも、ルクは吸血鬼の呪われた衝動からAを必死に守ろうとしていた。


守った上で共に居ようとしてくれた。



なのに

_________裏切った




吸血鬼の事を知らなかったと無知が言い訳にならないほどの失態。
ルクの心を裏切り、踏みにじった。




「吸血鬼の中には我々吸血鬼を上位種だと信じてやまない者が少なからず存在するが、それは愚かな考えだ。これは呪い……私やルク、レストの親に位置する吸血鬼から始まった呪いだ」

「_____」

「ルクはこれを呪いだと知っている。だから、三十年前の小娘を失う結果を招いた」




ウルドから三十年前の出来事を聞くのはこれが初めてだった。


彼は以前に第三者が語ることではないとAを突っぱねていたのにも関わらず、何かを語ろうとしている。


それが酷く重要なことに思え、Aは一言一句聞き漏らさないようにと細心の注意を払った。




「私はルクがお前を拾ってきた時、ルクには一つの選択肢を与えた。人間のまま生かすか、呪いを分けて吸血鬼として生かすか。だがルクはその選択をしなかった」

「_____」

「お前の為だ。ルクはお前の手にその選択を委ねた。無理矢理にでも側に置く手立てはいくらでもあったにも関わらずだ」




ぽろり、と雫が手元に落ち弾けた。
ぽろり、ぽろりと二度三度と続く。


後悔と自責の念が止まらない。


いつも側にいる涙を拭ってくれる存在が、恋しくてたまらない。
でも、もう遅いのだ。
何もかも。

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こんぺいとう(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!新しいものはあと一週間くらいで公開できるかと思いますので、もう少しお待ち下さい〜! (2021年1月21日 20時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - おもしろくて勢いよく読みました!!!続きが楽しみです! (2021年1月20日 9時) (レス) id: f5136f3fcb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年11月8日 21時

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