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「これはもう不要だなー。よし、外そう」
そう言ってルクが手をかけたのは、首輪よろしくついていた採血のための器具である。
家畜と扱われるのが嫌で何度も取ろうと試みた、恐ろしく頑丈なそれは簡単にルクの手で取り外された。
吸血鬼が何倍も人間より優れていることは当たり前に知っていたが、こうも簡単にAのなし得なかったことをやってのけたと思うと、とても驚いた。
「ぁ……」
「ん？外したらダメだったか？」
首を左右に振って否定する。
むしろ、望んでいても出来なかったことを彼はしてくれたのだ。
感謝してもしきれなかった。
やっと家畜という存在から解放された、その事実が嬉しくてつい頬が緩む。
「笑ってるのか？」
「あ…えっと、」
「いい、笑えよ。その方がずっと…いや、とにかく気にするな。お前が笑ってたら嬉しいから」
そう言ってルクは女の子にしては極端に短い不揃いな長さの髪を撫でた。
ルクに手を引かれて船を下りた後、一番に向かった先は極彩色の城というには少し小さな建物だった。
ロシアのモスクワに位置する、ワシリイ聖堂という建物らしいが、中に入るとたくさんの吸血鬼とすれ違う。
不躾に寄越される視線のなか、居心地の悪さを感じながらもルクの背に隠れながらやって来たのは金の髪と見たこともない色の肌を持った吸血鬼の元だった。
「なんだ、それは」
「ちょっとウルド様、怖がってますからそれ呼ばわりはやめてくださいよー」
「…………」
「ほら、A。教えた通りウルド様に挨拶して」
「えっと、今日からお世話になります…」
「許可していないが？」
「そんなの俺が許可しますー」
刺々しい雰囲気を纏ったウルドとルクに呼ばれた男もまた、Aに敵意に近い鋭利な視線を寄越す。
年端もいかない子供のAとしてはあまりの恐怖に泣き出しそうになる。
それをつぶさに感じたルクがしゃがみ、出会った時と同じようにぎゅっと抱きしめて安心させてくれた。
少しあの時と違うのは、後ろから抱きしめられていることだろうか。
「あーウルド様が泣かせた」
「泣いていないだろう」
「泣きそうですよ、彼女。どうしてくれるんですか」
「ﾁｯ…」
この決定は何を言ったところで覆らないと分かるとウルドは不愉快そうに舌打ちをした。
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こんぺいとう(プロフ) - RiAさん» ありがとうございますー！この頃更新が遅くなって日付を跨ぐこともしばしばですが１日１更新は必ず守っていきますので、どうぞよろしくお願いします♪ (2020年10月2日 19時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - こんぺいとう様の作品全部大好きです(＞＜)ずっと応援してます！更新楽しみにしてます！ (2020年10月1日 11時) (レス) id: 5404c24946 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - ありがとうございます！ちょっぴり切なくてシリアスですが、今後もお付き合いくださいー！ (2020年9月30日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ひなどり。(プロフ) - ストーリー凝っててすきです…応援してます (2020年9月30日 19時) (レス) id: b8745ce36d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年9月24日 22時
