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「お前さぁ、甘えるときはマジで容赦ないよな」
ルクがそう言うと都合の悪いことは聞きたくないと言うように、ルクの腹部へ顔を押し当てた。
ウルドの部屋から戻り、仕舞う資料諸々の処理が終わったところでAはやっとルクを求めることができると歓喜し、彼の腰あたりに手を回してぎゅっと抱き締めたのだ。
突然のことではあったが、吸血鬼のルクがいち早く察知できないはずは無かった。
それをあえて彼は無視してAの行動を許容し、受け止めたのだ。
「何年経っても寂しがりは抜けないなー。まぁ、それも可愛いところか」
ウルドに言われずとも過去に何度かはあえて彼女の側を離れようと試みた事もある。
だが、常に孤独を嫌い、闇を嫌った彼女は目が利かない夜ですらもルクが離れたことを感知すると、泣きルクの存在を求めるのだ。
ある種の依存に近い気もするが、相変わらず精神面での成長が著しく遅れている彼女からすれば子が親を求めるようなそんな感覚なのかもしれない。
吸血鬼である自身が何かを与えるとなると相当に難しいものの、共に居るだけならいくらでもできる。
相変わらず腹部へ顔を押し当て、そこから動こうとしないAに呆れながらも、このまま相手をするには少し不便な場所に立っていた彼はどこかしらに腰を落ち着けたかった。
「A、ソファとベットどっちが良い?」
「……ベット」
「仕方ないな。お前のお望み通り構ってやるから、ほら、ベット行くぞ」
一度、Aを引き剥がしてベットに引っ張ってく。
そして、ルクが腰掛け手で同じように座るよう誘ったが彼女はそれをきかず、飛び付く勢いで彼の体めがけて抱きついた。
もちろん全体重と勢いが加わって座っていられる訳はなく、ルクの上体はばたんと後ろに倒れた。
「どうしたんだよ。普段からこんなことするお前じゃないだろ…もしかして、ウルド様の言葉を気にしてたり?」
「……」
「あー図星かぁ。ったく……お前は世話が焼けるなぁ」
Aの背をゆっくりと片手で撫でながら、ルクは天井を見上げた。
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こんぺいとう(プロフ) - RiAさん» ありがとうございますー!この頃更新が遅くなって日付を跨ぐこともしばしばですが1日1更新は必ず守っていきますので、どうぞよろしくお願いします♪ (2020年10月2日 19時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - こんぺいとう様の作品全部大好きです(><)ずっと応援してます!更新楽しみにしてます! (2020年10月1日 11時) (レス) id: 5404c24946 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - ありがとうございます!ちょっぴり切なくてシリアスですが、今後もお付き合いくださいー! (2020年9月30日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ひなどり。(プロフ) - ストーリー凝っててすきです…応援してます (2020年9月30日 19時) (レス) id: b8745ce36d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年9月24日 22時