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ロシアへ向かう最中。
船の中にある簡易なシャワー室に押し込められ、とりあえず身体をきれいに清めろと指示されたのは数十分前の事だった。
家畜が着る服を脱ぎ、だらしなく脱衣場に投げたA。
首輪のようなものが邪魔に感じるものの、子供の力では外れないことを十分に理解している為、それに手はつけずそのままシャワーを浴びる。
蛇口をひねり、お湯の使える設備だと分かると嬉しくなってAはたった一人裸のままはしゃいだ。
サングィネムでは季節がどうであろうがお湯は出ない。
それどころか身を清めるための入浴を数十日に一回数分間という限られた時間でせねばならず、不便どころの話ではなかった。
更に最近は家畜用の入浴設備が壊れたらしく、治そうともしない吸血鬼たちのお陰で設けられた入浴時間に入浴すら叶わないことが多々あった。
年上の子供に押し退けられ、ただ端で見ているだけでその時間が終わる事も少なくない状態だったのだ。
もはやこれが何日ぶりの入浴かもわからない。
少し熱いシャワーでスッキリした後、脱衣場に出ると用意されていた見たこともない服へ袖を通した。
水が滴る髪を気にせずにドアを開けると顔を覗かせたルクがぎょっと目を見開いた。
「水したたってるだろ！？なんで拭いてでてこないんだよ」
「か、乾くと思って…」
「だーめ。人間はすぐに風邪引くんだから」
凄まじい剣幕で問うルクに尻込みしながらなんとか答える。
すると首根っこを掴まれて脱衣場に逆戻りし、真っ白なタオルを持ってきたルクに揉みくちゃにされた。
そうしてしばらくタオルでガシガシと髪の水気を取られると、水分を吸った髪から水が滴らないほどになり、ルクが満足したことで事なきを得た。
少しびっくりした。
ひどく怒られるかもと力を入れていた体を脱力させ、強ばった表情も緩めると、それを見抜いていたらしいルクは視線を合わせてにこりと笑う。
「明日からは髪もちゃんと拭いてから出るんだ。わかったか？」
「…う、うん」
「よしよし、いい子だなー」
こうやって甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる様はまるで年の離れた兄を持ったかのような感覚だった。
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こんぺいとう(プロフ) - RiAさん» ありがとうございますー！この頃更新が遅くなって日付を跨ぐこともしばしばですが１日１更新は必ず守っていきますので、どうぞよろしくお願いします♪ (2020年10月2日 19時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - こんぺいとう様の作品全部大好きです(＞＜)ずっと応援してます！更新楽しみにしてます！ (2020年10月1日 11時) (レス) id: 5404c24946 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - ありがとうございます！ちょっぴり切なくてシリアスですが、今後もお付き合いくださいー！ (2020年9月30日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ひなどり。(プロフ) - ストーリー凝っててすきです…応援してます (2020年9月30日 19時) (レス) id: b8745ce36d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年9月24日 22時
