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ゆっくり大きな赤の瞳が開かれる。
そして、小さく息を飲む音がした。
何を今さら驚く事があるのだろうか。
いつもこうして朝イチに顔を合わせると言うのに。
再度、ルクの瞳を見た。
そこでAは気づく。
ルクが彼女自身を見ていないことに。
まただ。
また、何か別のものを見ている。
この頃はそんな素振りすら見せなかったが故に安心しきっていたが、それは思い過ごしだったようだ。
「ねぇ、ルク…寝ぼけてるの？」
返ってくる反応はなく、Aは眉を潜めた。
今までぼんやりと空虚を見つめていても、声を掛ければルクの意識は簡単に彼女へ向いた。
なのに、彼の鋭い輝きを放つ瞳は別の何かを見ている。
「ルクってば！」
少し強めに彼を揺さぶった。
「…ぁ、おはよう…A。起きてたのか」
「ルクより先に起きてた。でもルクが気づかなかったんでしょ。起きてたのかってなに」
「あーごめん」
いまいち覇気がないルクにやはり違和感を覚えながらAは掛け布団をルクの顔の方へと押し退けて起き上がった。
今のルクは彼女の知るルクじゃないようで、何だか気味が悪い。
Aの知るルクが早く戻ってくればいいのにと、少し乱暴にルクの顔めがけて片手でだめ押しをする。
普段はびくともしない彼の身体が簡単に揺れた。
それに少しだけ罪悪感が沸いた。
「ルクの馬鹿…顔、洗ってくる」
そう言い残してパタンと部屋のドアを閉じたAはしばらく戻ってくることは無かった。
「こんなところで何してる」
「…っわ！」
早々に顔を洗い終わってしまい、戻るにしても少し頭を冷やしたいと廊下をうろうろしていた所に現れたのは、全ての吸血鬼をまとめ、頂点に立つ男、ウルドだった。
ルクがウルド様と呼び、慕う彼はAからして決して縁遠い存在ではなかったが、彼の発する近寄りがたい雰囲気は子供の彼女にとっては少し辛いものがある。
故に嫌煙している訳ではないものの、彼に対して多少の苦手意識は働いていた。
「ね、眠気覚ましの散歩を…」
「お前の保護者はどうした」
「今は部屋に…」
「ルクが庇護してるとは言え、ここは飢えた吸血鬼が居ないとも限らない場所だ。安全とは言い切れない。わかっているのか？」
切れ長の瞳に睨まれた途端にAは縮み上がった。
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こんぺいとう(プロフ) - RiAさん» ありがとうございますー！この頃更新が遅くなって日付を跨ぐこともしばしばですが１日１更新は必ず守っていきますので、どうぞよろしくお願いします♪ (2020年10月2日 19時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - こんぺいとう様の作品全部大好きです(＞＜)ずっと応援してます！更新楽しみにしてます！ (2020年10月1日 11時) (レス) id: 5404c24946 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - ありがとうございます！ちょっぴり切なくてシリアスですが、今後もお付き合いくださいー！ (2020年9月30日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ひなどり。(プロフ) - ストーリー凝っててすきです…応援してます (2020年9月30日 19時) (レス) id: b8745ce36d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年9月24日 22時
