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共に布団の中に居るAが吐いた一言が敬愛の意味なのか、恋慕の意味なのか、感情というものを失って久しい彼は判断が付かない。
だが、聞かれることを前提としない一言ながらも彼女の一言は奇しくも、ルクが胸の内に秘めていた三十年前に存在した少女への感情を引きずり出してしまった。
そして無意識に、Aが吐いた言葉と全く同じものをルクは三十年前の彼女に乞う。
このとき、初めて自覚をした。
どんな意味でもかまわない。
たった一言に報われるならば自身が大切にしていた彼女に大好きと、好きだとたった一言だけ言われたかった。
彼女はルクにとって大切で愛しい愛しい、人間の子だった。
誰にも渡したくない唯一の存在。
例えそれが死神であったとしても、ルクは抗いたかった。
目尻を熱いものが伝った。
こんなもの、彼女を失ってから流したことさえ無かったのに。
今になって、たまらず込み上げてくる。
その熱は引っ込む場所を知らず、目尻を流れ落ちるばかり。
本当にみっともない。
彼女が絡むといつもこうだ。
第五位始祖の威厳など知ったことではない。
「お前のせいで辛くてたまんないだ。なぁ…A……」
胸元にいる彼女ではなく、ルクの手は虚空を掴む。
そこにAの幻を見ることを彼が望んでいるかのように。
大好きだと言われたかった。
大好きだと言いたかった。
記憶の中にしか居ない彼女に伝えたかった、たった三文字の言葉。
それが叶わない。
ルクは声を圧し殺し、自身の胸の中で眠る彼女が再び目を覚ますまでの数時間、叶わぬ過去への願いを想いながら涙を流し続けた。
二度目の目覚めは眠気を引きずることなく、頭がハッキリとしていた。
欠伸を噛み殺して首の角度を変え、Aは胸を借りていたルクを見上げる。
「まだ寝てる…？」
いつものように、起き抜けにおはようと声を掛けてこない時点で少し違和感を感じていたが、まさかルクが寝坊するとも思えず一瞬だけ時間が経っていないのかと疑いもしたが、窓から射す光の角度は間違いなく変わっていた。
少なくとも数時間は二度寝をしていたことになる。
とっくにルクが起きるであろう時間が過ぎているにも関わらず、瞳を閉じ眠っているのだ。
「ルク、起きて」
「…んー」
少し変に感じたルクを揺すると気だるげな返事を彼はした。
どうやら本当に寝入っているらしかった。
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こんぺいとう(プロフ) - RiAさん» ありがとうございますー！この頃更新が遅くなって日付を跨ぐこともしばしばですが１日１更新は必ず守っていきますので、どうぞよろしくお願いします♪ (2020年10月2日 19時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - こんぺいとう様の作品全部大好きです(＞＜)ずっと応援してます！更新楽しみにしてます！ (2020年10月1日 11時) (レス) id: 5404c24946 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - ありがとうございます！ちょっぴり切なくてシリアスですが、今後もお付き合いくださいー！ (2020年9月30日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ひなどり。(プロフ) - ストーリー凝っててすきです…応援してます (2020年9月30日 19時) (レス) id: b8745ce36d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年9月24日 22時
