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最近になってルクが切なく寂しげな表情を浮かべる回数が減ったように感じる。
それが何を意味するかAにはわからなかったが、ルクが何かを憂いているように遠くを見つめ、ぼんやりとしている時間が減ったことに喜んでいた。
ルクがぼんやりとしていると目の前にいるはずのAでも、その真っ赤な瞳に映る事がない。
その間だけ姿が見えない何者かにルクを奪われているようで密かに嫉妬していたことはルクも知らないだろう。
ルクの中で燻る"何か"よりも気が引けている。そう感じると幸せな気持ちになれた。
彼はAが望めばいくらでも与え、甘やかしてくれる。
少しだけ困った顔をさせることも多かったが、それでも望みを可能な限り実現すべく手助けをしてくれた。
サングィネムに居た頃はあれほ感じていた吸血鬼と人間の隔たりを感じることもなく、幸いにも日々の生活を送ることができるのは間違いなく彼のお陰だった。
今日は普段と比べかなり早く目覚めた。
いつもは決まって先に起きているはずのルクが無防備な寝顔を晒して横で寝ているせいか少し心臓の鼓動がうるさい。
伏せられた長い睫毛も、端正な中に茶目っ気を隠す顔も、少し乱れた前髪も全てが芸術品のよう。長い前髪はふわふわと彼の顔周りを飾りたてている。
以前に人間と同じく吸血鬼も寝ることはできると聞いたが、それは休息を取るためではなく刹那の退屈しのぎのためだと言う。
これもきっと退屈しのぎなのだ。
それでも構わない。
穏やかな寝顔。
そっと起こさないようにと指先だけでつんと頬に触れた。
ルクの色白い肌は共に布団を被っているにも関わらず冷たい。
これはウルドも他の吸血鬼も例外では無いのだろう。
それに比べて、Aが触れるようにして寝ていた胸元は体の熱が伝わったのか、少しだけ人肌の温もりを感じることができた。
孤児も同然だったAを拾い、ここまで連れて来た不思議な吸血鬼。
彼が何を思い彼女を側に置くことを決めたのか、相変わらず教えて貰えることはなかったが、いつまでも変わらず必要とされるなら悪くはなかった。
むしろルクの作る世界がとても心地よく感じる。
永遠に微睡んで居たいと思うほどに。
「ふふっ…大好き」
再度、ルクの胸に顔を寄せ、体を丸くした。
今度は彼に起こされる頃合いまで二度寝を決め込もうと目を閉じた。
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こんぺいとう(プロフ) - RiAさん» ありがとうございますー！この頃更新が遅くなって日付を跨ぐこともしばしばですが１日１更新は必ず守っていきますので、どうぞよろしくお願いします♪ (2020年10月2日 19時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - こんぺいとう様の作品全部大好きです(＞＜)ずっと応援してます！更新楽しみにしてます！ (2020年10月1日 11時) (レス) id: 5404c24946 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - ありがとうございます！ちょっぴり切なくてシリアスですが、今後もお付き合いくださいー！ (2020年9月30日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ひなどり。(プロフ) - ストーリー凝っててすきです…応援してます (2020年9月30日 19時) (レス) id: b8745ce36d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年9月24日 22時
