15 ページ15
そもそも三十年前と今では状況が違いすぎる。
元々、部屋を別にしていたあのときと、一緒にしていた部屋を別にしようとしている今。
反抗期を迎えたことでルクに対して次第に風当たりが強くなった記憶の中の彼女と、幼い頃から長らくすがるものを得られなかったことでルクから離れられなくなってしまった彼女。
外見は似たような人間であれど、性質は全く違う。
「でも、いつまでも俺にくっついてどこまでも行けると思ったら大間違いだぞA」
ルクがそう諭せば、彼女はより一層怯える。
なんとなく間違った方向で伝わってしまった気がした。気のせいではない。
「俺もウルド様から任せられてる仕事があってお前を常に側に置くのも限界があるんだ。それに…お前は女の子なんだからもう少し謹みってものを覚えてくれると助かるんだけどなぁー」
ルクが部屋を別けようと提案した理由でもある彼女の成長は彼の悩みでもあった。
案外彼女の成長が早く、あっという間に裾が短くなってしまったワンピースで駆け回ったり、スカートの裾が捲れるのも気にせず抱き枕よろしくルクの足に自身の足を絡めてきたりとヒヤヒヤさせられたことは、一度や二度では足りないだろう。
今もルクの腕を捕まえて必死に嫌だと訴えてはいるが、その腕が膨らみ始めた彼女の胸に当たっている。
正直、辛い。
今すぐにでも反抗期が来てルクの元を離れてくれたらどんなに楽かと思う。
だが、そんなに都合の良い事が起きるわけもなく彼女は手に入れている力を更に強めた。
「あぁ…もう、勘弁してくれよー…」
結局、彼女を引き剥がせず淡々と時間だけが過ぎ、ルクは自身の甘さにも嫌気がさして、ため息をついた。
今も昔も一筋縄ではいかないのは変わらないらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こんぺいとう(プロフ) - RiAさん» ありがとうございますー！この頃更新が遅くなって日付を跨ぐこともしばしばですが１日１更新は必ず守っていきますので、どうぞよろしくお願いします♪ (2020年10月2日 19時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - こんぺいとう様の作品全部大好きです(＞＜)ずっと応援してます！更新楽しみにしてます！ (2020年10月1日 11時) (レス) id: 5404c24946 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - ありがとうございます！ちょっぴり切なくてシリアスですが、今後もお付き合いくださいー！ (2020年9月30日 21時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ひなどり。(プロフ) - ストーリー凝っててすきです…応援してます (2020年9月30日 19時) (レス) id: b8745ce36d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年9月24日 22時
