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理由はあと約１ヶ月後に転校することが決まっていたからというごくつまらないものだった。
別に、転校するからといって、付き合えないというわけではなかった。
お互い携帯は持っていたわけだし遠距離恋愛、というものになってしまうが不可能ではなかったはずだ。
しかし、どういう訳か私はそれでも彼の想いに応えることができなかった。
多分、自信がなかったんだ。遠く離れても彼を繋ぎとめておけることが私には出来ないって。
だってそうじゃん。天月くんはクラスの人気者で、対する私はどこにでもいる平凡女子なんだから。
天月くんのことは好き。大好き。
だから、離れると苦しい。
会える頻度が減るってだけでも辛いのに、私が知らないところで、他の女の子を好きにならないかとか考えると不安で不安でたまらない。
もし彼と付き合ってたら彼を好きだからこそ苦しまなければいけないという皮肉に私は耐えられなかった。
拳をぎゅっと握りしめて、掠れた声で断った時のどこか寂しそうに顔を歪める彼を見て、胸が痛くなって、それが今でも忘れられなくて、
(…結局苦しんでるじゃん)
好きな人に嘘をついてしまった、その罪悪感は大人になった今でも忘れられなくて、一年に一度の嘘が許される日とされるエイプリルフールが近づくと、どうしてもあの時私のついた嘘を、彼のあの表情を思い出してしまう。
「いや未練ありすぎだよ私…」
当時のことを振り返って、ぼそっと呟いた。
しかしこんな小さな声など、せわしなく行き交う人々の足音に掻き消されてしまった。
あれから、転校して1度は日本の首都と呼ばれたこの都市を離れたものの、結局就職のため、またこの都市で暮らし始めたのだ。
ようやく履き慣れた少し低めのヒールをツカツカと音を鳴らしながら、暗闇にいくつもの店舗の照明で照らされた歩道を歩いていた。
仕事の疲れに追加して、当時の忘れたい記憶を思い出し、憂鬱になりなっていた、その時だった。
ちょうど向かい側から、大型トラックが走ってきて、それをぼんやりと眺めていると、ちょうどその道路に昨日降った雨のせいか、大きな水溜まりができているのに気がついた。
「…あ」だなんて言った時にはもう遅く、トラックは水溜まりに何の躊躇いもなく入っていきｰｰ
ビシャア！！と液体特有の音をたてながらそれは見事に私に降りかかった。
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sera(プロフ) - 冬芽さん» 代表で主催の私が返信させて頂きます。読んで下さっただけでなくコメントまでありがとうございます！ぜひ気になった作者様の作品を読みにいってみてください…！ (2019年4月1日 19時) (
レス) id: 28f01b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
冬芽(プロフ) - どのお話も素敵でした。楽しんでサクサクと読ませていただきました。素晴らしいコラボをありがとうございました。 (2019年4月1日 11時) (レス) id: 781e1744d9 (このIDを非表示/違反報告)
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