【FGO】白昼夢のその先で【短編集】

英霊祭装（ジャンヌ・オルタ） ページ7

※男夢主




「さあ、マスター。存分に見惚れるといいわ。せいぜいその目によく焼き付けておくのね」



　目の前で仁王立ちしているジャンヌ・ダルク・オルタの姿に、思わず息を飲む。


　彼女が着ていたのは鎧ではなく、涼しげな水着だったのだ。

　黒を基調とした水着は大胆にカットされており、彼女の豊満な胸を強調する。すらりと伸びた足が動くたびに、シースルーのパレオが揺れた。

　ゆるく二つに結った長い髪。ところどころにある三つ編みがアクセントとなり、とても華やかだ。

　白と黒のコントラストはシンプルだが、彼女がまとうと特別な色香を感じた。


　思春期の男子にはだいぶ刺激が強い光景である。

　オルタのことだから、きっと新しい衣装をお披露目しにきただけで、そこに他意はないのだろう。なんとも心臓に悪い。


　目のやり場に困りながらあちこち視線を彷徨わせていると、ニヤニヤといやらしく笑う彼女の瞳とかち合った。歪められた双眸が、みっともなく動揺する俺を嘲笑っている。

　腹が立つ──とまではいかないが、このまま翻弄されっぱなしというのは、俺の矜持が許さかった。


　だから、これはちょっとした仕返し。



「……オルタは黒が似合うね。すごくかわいい」
「はあ？ ふつう、黒をかわいいとは言わないでしょう？ そういうのはあの聖女様のような……いえ、なんでもありません。前から思っていたけれど、貴方の感性はズレています」



　たしかに、聖女様──ルーラーのあの子なら『かわいい』という言葉が相応しいだろう。柔らかな笑みで「マスター」と呼ばれた日のことを思い出す。





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