09.疑問 ページ9
「自分のメカクレは地雷なのかな?」
「何故!?」
「わたしにも聞かれても困るんだけど」
「落ち着いてください、バーソロミューさん。他には何かありましたか?」
「何もしていない……はずだ。いつもと違ったことといえば、その話題を振ったくらいだろう」
マスターたちの出した結論は残酷なものだった。Aとはあれだけ語り合ったというのにあんまりだ。といっても彼女は何も悪くない。やはり私との会話が不満だったのだろうか。
「でも、なんでそんなに見たいの? メカクレっ子なら他にもいるでしょ?」
「Aなら……いや、Aだから似合うと思ったんだ」
彼女の瞳は夜空のようだった。
嵐が過ぎ去ったあとに見える、雲ひとつない夜空。濃紺の世界に散りばめられた星々の輝きは何よりも美しく、船上から仰ぎ見るその光景は私の心に安らぎを与えた。
ぽかんと口を開けて目を丸くするマスター。そして、小さな両手で口元を覆い、僅かに頬を染めているマシュ・キリエライト。とても可愛らしい反応だ。
「伊達男に色恋はつきものってことか……」
「色恋? 私が、Aに?」
「えっ、違うの?」
「私はAをそういう目で見ていない」
そう、これは恋心ではない。
ただ、隠してしまいたいと思ったのだ。あの輝きを誰にでも晒してしまうのは惜しい。
美しいものを愛でるのが好きだ。だから彼女の瞳を愛おしむのも通りである。
──果たしてそれだけだろうか。
本当に美しいと思えるもの。私はきっとその正体を既に知っている。
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星良(プロフ) - 爆死★さん» ありがとうございますッ!!!!! (2020年11月14日 19時) (レス) id: ca2b877203 (このIDを非表示/違反報告)
爆死★ - スッッッキ!!!!(スッッッキ!!!!) (2020年11月10日 17時) (レス) id: da8da72c3c (このIDを非表示/違反報告)
星良(プロフ) - 王のお話さん» ありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです!初めてのコメントで感動しました……貴方のそのお言葉がとても励みになります、本当にありがとうございます!!(ただいま新作を準備しております。お楽しみに!) (2019年8月23日 11時) (レス) id: fa3e8c95cc (このIDを非表示/違反報告)
王のお話 - 突然のコメント失礼します。率直に言いますととても感動しました!最初から最後まで話にとても夢中になりました!小説を読んでこんなに気持ちが昂ぶったのは久々で、とても楽しかったです!もし別作品を書く予定がありましたら是非読ませてください! (2019年8月23日 2時) (レス) id: d7d108a59e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星良 | 作成日時:2019年8月13日 13時