私は双子の兄達が嫌いです【アイナナ】

30.陸と天と私 ２ ページ31

天にぃはズバッっと陸にぃに言葉を突きつける


天「僕たちの仕事は代わりがいない
代わりがいるなら、二流の証拠だ

陸が一流を目指せば目指すほど
周りに迷惑をかける」


A「…私が代わりに踊ったことを言ってるの？」


天「…いや…
でも、キミはアイドルじゃない
あまり、他の業種に口をはさんではいけないよ」


陸「…」


さっきから、陸にぃが何も話せていない
何か思うところがあるのだろうか


天「僕たちは何人もの人に支えられて、何人もの人の生活や責任を託されて
そしてステージに立つ
陸が歌っている４分半の為に、４カ月働いて、４年間勉強してきた人たちがいるんだ

そんな人たちの苦労を僕らのミスは一瞬で台無しにする
その覚悟があるの？」


陸「…俺は
俺はみんなと歌いたくて…」


天「そうなら、みんなでカラオケにでも行っておいでよ
そこでなら、僕も拍手をしてあげる」


陸「…」


私はアイドルでもないし
二人が思うところと少しずれてるのかもしれない

だけど


A「長々と話したそれって、九条から学んだことかしら」


天「…そうだね」


A「結局、あなたの本心が見えない
今の長々と話したことからわかったのは
『陸にぃにアイドルは無理だからやめろ』

それだけ

そんなの、私は陸にぃがアイドルを始める前から言ってるわ」


天「…理由はちゃんと話したつもりだけど
やけに、陸の肩を持つね」


A「私は、陸にぃを兄だと思ってる
あなたのことは兄だと思ってない


どっちの味方をするのかなんて一目瞭然じゃない」


天「でも、Aは僕を 天にぃ って呼んでくれる
そう、兄として呼んでくれているんだ

それはどうして？」


A「へ？…それは癖よ」


天「…そういうことにしておくよ

…僕が家を出た理由を知りたいって言ってたでしょ？
教えてあげる

父さんの店がお客さんを楽しませる責任を忘れたからだ」


あぁ、天にぃも気づいてたんだ


天「両親の店がつぶれたのはなんでだと思う？」


陸「お金に困ってるときに、九条が圧力をかけて…」


天「違う
Aはわかってたんじゃない？」


陸「…A？」


そう、知っていた
両親の店がどうしてつぶれたか


A「空気が…悪かった
店の手伝いをよくしていたから感じてたの

経営に困った店の空気に、ダンサーたちが影響されて
冴えない表情で笑顔もなかったし、不安そうに踊って
た
ただ歌って踊ってただけ


最悪のショーよ、お金なんて払う価値ないぐらい」

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