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ピンクのお魚さん ページ5

A「モトキ少年、甘いものが食べたい」

お家デートでお互いに背中を合わせながら雑誌を読んでいると背中にかかる重さが増したのと同時に歳上の彼女が口を開いた。
モトキ「え?作れって言ってる?」
シルクと鍛えてるので彼女に体重をかけられてもビクともしないけど、いきなりの事にびっくりする。
A「察しがいいな少年。ふわふわのパンケーキを所望するよ」

3つ歳下の恋人は、料理が得意だ。初めて食べた時は男に負けたと悔しかったが本当に美味しくて今ではお店で食べるものより美味しいと思っている。

モトキ「さっきお昼食べたじゃん」
A「甘い物は別腹なのだよ。さぁ、私に甘い物を作っておくれ」
読んでいた雑誌を取り上げられキッチンを指さされる。普段はクールなのにたまにこうして可愛い我儘を言ってくる。可愛いと言えば怒られるから言わない。

モトキ「仕方ないなぁ。ふわふわのパンケーキね」
A「少年のパンケーキ食べたら他所のは食べられないんだよ」
慣れた手つきで作り始めればカウンターキッチンの逆側から覗いてくる。普段は自分とあまり変わらない目線だが今は手元を覗いているからいつもは見えないつむじが見えている。
A「少年はパティシエになってもやっていけそうだね」
モトキ「その時はAさんが常連になってくれる?」
A「愚問だね。永久名誉会員に決まってる」
他愛もない話をしながら出来上がったのはふわふわのパンケーキ。生クリームとフルーツも添えられている。

モトキ「お待たせしました〜」
A「少年、早く早く」
テーブルで待機してる恋人は歳上なのを忘れてしまいそうな程、目をキラキラさせている。

モトキ「こちらご所望のパンケーキでございます」
三段重ねのパンケーキがのったお皿を目の前に置けば更に目をキラキラさせてナイフとフォークを使い口に運ぶ。
A「ん〜!美味しい〜!ありがとうね、モトキ」

美味しいお菓子を作ると少年呼びではなくて名前で呼んでくれる。
たったそれだけの一言を聞きたくて台所にはいつも色んな材料をストックしてるのはまだ内緒にしておこう。今は幸せそうな顔で食べてる恋人の顔をこっそり眺めておく。

作者より→←赤いお魚さんその2の2



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作者名:天紅 | 作成日時:2022年4月26日 11時

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