赤いお魚さん4 ページ17
−幼馴染み設定−
｢またフラれた…｣
｢フラれる度に家に来るなよ｣
｢いいじゃんか…｣
｢今回は何時もよりは長かったのにな｣
こいつが家に来る時は決まってフラれた時。学生時代から変わらない関係。
｢今度は何が原因だよ｣
｢自分と同じくらいボーリング出来る女は嫌だってさ｣
｢しょうもない理由だな笑｣
｢ぶりっ子とか無理だもん｣
中学生の頃まで俺らと遊んでたこいつはその辺の女子よりは運動できるからな。
｢手加減出来ないし、負けず嫌いだもんな？｣
｢勝負は真剣にしたい派なの！｣
ソファーに体育座りしながら項垂れるAに、編集していた手を止め隣に座る。
｢お前も男運ないやつだよな｣
｢うっさぃ、シルクに言われたくないし｣
｢いい加減認めとけ？｣
｢絶対やだ。なんで同じくらい出来たらダメなのよ、楽しいじゃん｣
｢男は優越感に浸りたい生き物だからな｣
｢めんどくさ…あーぁどっかにいい男落ちてないかな｣
｢近くにいい男いるだろ？｣
｢シルクは彼氏にするには勿体ないじゃん｣
にししっと八重歯を見せながら笑うAに、マサイに言われた事を思い出す。
『Aには、ちゃんと言わないと一生伝わらないぞ』
｢なぁ、A｣
｢なに？真剣な声出して｣
｢俺じゃダメなのか？｣
｢え？いきなりどしたの？｣
いつもと違う雰囲気の俺に少しだけ後退りするAの腕を掴む。
｢いきなりじゃねーよ。ずっと好きだった｣
｢嘘だ〜。だって学生の時聞いたもん｣
｢何をだよ｣
｢シルクは、年下で自分よりも背の小さい可愛い子が好きだって｣
中学生の時にAに身長を越され、高校で伸びると思ったが残念ながら伸びなかった。もしかして、ずっと気にしていたのだろうか。
｢だから、幼馴染みの関係さえ崩れなきゃそばにいても大丈夫って｣
｢ごめん。もっと早く伝えればよかった｣
ギュッと抱きしめれば、おずおずと背中に回される手に顔が綻ぶのを自覚する。
｢これからは、彼女として傍にいてくれ｣
｢遅いんだよ、バカシルク｣
｢バカって言うな。絶対に離してやんないからな｣
｢望むところだよ｣
お互いに顔を見合わせ、小さく笑えば自然と重なる唇。
遠回りしたけど、やっと交わったこの道を2人で歩いて行こうな。
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作者名：天紅 | 作成日時：2022年4月26日 11時
