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青いお魚さん3 ページ15

俺だってやる時はやるんだからな

「チクワは今日も可愛いね〜」

「……なぁ」

「なんだい?少年。今はチクワとイチャイチャしてるから邪魔しないでおくれ」
「わっふ!」

可愛いチクワと恋人がじゃれあってるのは微笑ましいけど、俺は?せめて輪に入れてくれてもよくないか?

「チクワ〜、君は天使だねぇ」

俺の事は少年呼びなのに…初めて会った時から付き合い始めた今も名前で呼んでくれない。

「Aさん、こっち向いて?」

「ん?どした?」

振り向いた瞬間を写真におさめる。こっそり作ったアルバムにまた1枚コレクションが増えたな。

「撮影許可出してないんだけど?」

「彼氏の特権」

写真嫌いのAさんはカメラを向けてもそっぽを向いてしまうからアルバムの写真は不意打ちのものばかりだ。

「データの無駄遣いだね。チクワを撮りなよ」

チクワのお腹を撫でながら、素っ気ない事を言うけどほんのり赤くなってるのを見て俺は思わずシャッターをきる。

「あ!こら、今のはダメ」

「無理wwこんな貴重な瞬間はカメラにおさめるでしょ」

チクワを膝から降ろすと、カメラを取ろうとこっちに向かってくる恋人から逃げる。

「少年、逃げるな。さっきの写真消して」

「そうだなぁ、考えてあげてもいいよ?」

「謎の上から目線してないで、消しなさい」

隅の方に追い詰められた振りをしてカメラを高くあげる。女性にしては高身長の恋人も流石に届かない。知ってるはずなのに余程消してほしいのか、近づき背伸びして手を伸ばす。手首を掴んで引き寄せればすっぽりおさまる。

「少年?!」

「なぁ、いつになったら名前呼んでくれるの?」

わざと耳元で囁けば真っ赤になる恋人に、口角が上がる。

「A…名前呼んでよ?そしたら写真消してあげる」

「マ、マサイ……少年」

「少年は要らないけど、まぁいっか」

ギュッと抱きしめればタバコとAさん独特の匂い。ちょっとだけ甘くて苦い香りに抱きしめる度に嬉しくなる。

「これからは名前で呼んでくれよな」

「善処する……」


甘くて苦い俺の歳上の恋人さん、これからはガンガンいくから覚悟しといてくれよ?

それぞれのプロポーズ→←ピンクのお魚さん



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作者名:天紅 | 作成日時:2022年4月26日 11時

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