青いお魚さん2 ページ11
たまたま見つけた動画。見つけなければ貴女の隣にいれなかったよな？
｢カラオケ練習したいな｣
｢おや、珍しいね？｣
キッチンでお昼ご飯を作ってくれてる恋人は、4つ歳上で顔出ししてないYouTuberの來珱。俺らが出した曲を歌ってみたで投稿してるのを見つけてコラボしたのがきっかけ。
｢なんか、もうちょい上手くなりたい｣
｢マサイくんの歌好きだよー、自信もちなよ｣
｢俺より上手い人に言われても(苦笑)｣
｢あたしは歌は上手くないよ。音程を外さないように歌ってるだけ｣
お皿にパスタを盛り付けながらそう話すけど、俺はAさんの歌が好きだ。音域が広いらしく、男女問わずに色々な歌を歌う。某ボカロ曲なんか、原曲キーと−3キーの両方出してて、低い方なんか色気が半端なかった…///
｢はい、お待たせ。｣
｢いただきます｣
編集していた手を止め、出されたパスタをを口に運ぶ。今日はアスパラとキノコの和風パスタ。
｢美味い｣
｢それはよかった｣
食べ終わった後の食器を洗うのは俺の役目。Aさんはベランダで一服中。後ろ姿を眺めながら少しだけニヤニヤしてしまう。
｢あたしが洗うのに、ありがとうね｣
｢ご飯作ってもらったんだから、これくらいはやるよ｣
煙草を吸ってる横顔が好きだなんて言ったらきっと、意外と照れ屋なAさんは俺の前で煙草を吸ってくれなくなりそうだから言わない。
｢Aさんは歌の練習する時、何を重点的にやる？｣
｢そうだねぇ…とりあえずは歌い方を真似する｣
｢真似？｣
｢息継ぎはもちろん、吐息混じりの所とか歌い方のコピーから始めるかな｣
｢そうなんだ。音程じゃなくて？｣
｢音程は歌い方を真似てれば追いついてくるからね。あくまであたしのやり方だけど｣
｢ふーん…俺もそうやって練習してみようかな｣
｢何回も何十回も聴き込んで、アレンジは最後だね｣
｢ねぇ、Aさん、あれ歌ってよ。低い方のキーで｣
｢また？笑ホント、好きだね｣
あの歌で俺は貴女の虜になったんだから。生で聴ける彼氏の特権はフルに使わないとな。
｢〜〜人生♪｣
｢相変わらず色気半端ない｣
｢そう言うのは、マサイくんだけだよ｣
｢他の男に聞かせたら嫉妬するかも｣
きょとんとするも、嬉しそうに笑う恋人に連られて笑みを浮かべ手を引く。
｢俺に食後のデザートちょうだい？｣
｢明日レコーディングあるから程々にしてね？｣
美味しく頂きました。
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作者名：天紅 | 作成日時：2022年4月26日 11時
