赤いお魚さん3 ページ13
−シルクが風邪引きました−
ネイルを乾かしていたら、LINEの通知音。簡潔な文章だけど、把握するには十分で。
急いで準備して、途中のコンビニで適当に買ってマンションに向かう。野生児の異名を持つあの子が風邪引くなんて天変地異の前触れか？
｢ダホくん、シルクは？｣
｢あー、Aさんやっと来た！｣
玄関を開けて聞けば腕を引かれ寝室へと連れていかれる。近づくにつれ聞こえる悲鳴
｢やだ！それ嫌なんだって！臭いの！｣
｢臭くないってば。熱下げなきゃでしょ？｣
ドタドタと聞こえる音に静かにドアを開ける
｢シルク？何騒いでるの？…ぶっ？！｣
顔に何か飛んできて変な声が出た。剥がしてみると冷えピタだった。
｢A！助けて！｣
｢よかったー、バトンタッチ出来る｣
モトキくんはにっこり笑うとあたしの手のひらに冷えピタを置いて部屋を出ていった。
｢シルク少年大丈夫？｣
｢大丈夫じゃない…｣
床を見れば散乱してる冷えピタ。なるほど、怖いものなしに見える可愛い恋人の数少ない苦手なものだ。
｢風邪ひいたんだって？｣
｢ひいてないもん…｣
腰に抱きつきながら拗ねた様子の恋人にクスリと笑い髪を撫でながらおでこを触る。
｢少し熱っぽいね。ほら、布団入りな｣
｢ん…｣
ふらふらしながら布団に入れば手招きしてくる。近くに寄ると手を出してきて
｢寝るまで傍にいてくんね？｣
｢いいよ。ちゃんと寝るまで傍にいてあげる｣
床に座ると手を握り、空いてる方の手で頭を撫でてやる。
｢疲れが溜まってたんだろうね｣
額につく前髪を払ってやりながら優しく撫でると力なく笑う恋人。
｢いい子でお休み。起きたらまたいつもの自信に溢れてるシルクの姿見せてね｣
眠る君の額にこっそりキスして、いつの間にか横で眠ってしまい朝まで寝てしまった。
途中で起きた恋人に抱きしめられて目覚めたらビックリするまで後何時間……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天紅 | 作成日時：2022年4月26日 11時
