出られない部屋 14 ページ14
*
今までのイドンヒョクを思い出す。
不機嫌そうな表情に、低いテンション。そして素っ気ない言葉遣い。
たしかにまぁ、漫画のクールキャラはそんな態度かもしれないけど……。
いつも明るくて、笑顔が綺麗なイドンヒョクにはあまりに似合わない。
「あ、笑ってるでしょ」
「ん？ わ、笑ってない」
と言いつつ、口元が緩む。イドンヒョクはそんな私を見て、あからさまにへの字の口をした。
その顔がなんだか可笑しくって、更に笑ってしまう。
「あー、もー……、笑わないって言ったじゃん！」
「んっ、ふふっ。ご、ごめん。んふふっ……」
ツボに入ってしまい、背を丸めて笑う私をイドンヒョクはちょっとの間黙って見ていた。そして、背を丸めて笑う私に言った。
「爆笑してんの、初めて見た」
「え、あー、そう、かな。まぁまぁ笑う方だと思うんだけど」
「そうだよ」
イドンヒョクはフッと笑う。
どこか大人っぽい、クールな微笑みだった。それこそ、イドンヒョクが言っていた「私のタイプ」を具現化したみたいな。
私だって、イドンヒョクがそんな風に笑うのを初めて見た。
この笑顔は、私だけの笑顔なんだろうか。
……もっと、私だけが知る初めてを、見たいと思ってしまうのは、何でなんだろうか。
「……ねぇ。これからもっと、俺の前で、俺の前だけでそうやって笑っててね。他の奴には見せちゃダメだから」
イドンヒョクのその言葉は、私の今思っていることを代弁されたみたいだった。
私だって、そう思ってる。他の周りの女の子達には見せないでほしい。私だけの、その笑顔を。
独り占め、したい。
あぁ、これは、もしかして。
ビーッ！！！
大きなサイレンの音が鳴り、思わず耳を塞ぐ。
そして、イドンヒョクと私はほぼ同時にスクリーンの方に目を向けた。
イドンヒョク ０回。キムA ０回。
そう表示されたスクリーンの文字が点滅して、消えた。それと同時にドアも霞みたいに消えた。
そして、そこでシャットダウンをされたように、ブツリと意識が途切れた。
続く (更新停止中)
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あき(プロフ) - めちゃくちゃ好きです！！！ありがとうございます！！！！！ (2023年5月2日 13時) (
レス) @page13 id: 52a0eb3ad9 (このIDを非表示/違反報告)
やまぴ(プロフ) - 同人誌のノリ分かる夢主好きですｗｗボイプラも好きなので他作品も読みました！文体すごく好きです！更新楽しみにしてます！ (2023年4月17日 5時) (レス) @page4 id: b2d974e411 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベロ子 | 作成日時：2022年12月23日 23時
