【実況者】憧れのあの人【セピア】 (ページ17)

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第十六話ページ17

そして暫く話しているとセピアさんのスマホが鳴った。席を離れていくセピアさんの背中を眺めていた。

「アブさん？え、何もしてませんから…大丈夫ですって。はい、わかりました。では。」

「ごめんね。アブさんからちょっと電話がかかってきちゃった。」

私は心の中で他の実況者さんの名前が出た事にすごくドキドキした。

「実はアブさんが貴方の事が気になっていたんですよね。俺もストラップ作って欲しいから会いたい！って。」

『えぇぇ？！あ、すみません‥あまりにもビックリしてしまって。』

アブさんにまで知られているとは…

「あ、そうだ。LIME交換してくれないかな？
たまに会って話したいし…」

『はい、大丈夫です。』

ドキドキしながらLIMEを起動する。
あ、先輩からLIMEが来ていた。

虻川先輩大丈夫?会えた?何かあったらいつでも連絡してね。

「あ、覗いちゃってごめん。この人かなり心配してくれてるんだね。」

『仕事先の先輩なんですけど、いつも実況者さんの話を聞いてくれるんです。ライブの時一緒に行ってくれたんです。』

LIMEを交換してすぐにお気に入りに入れる。

「優しい先輩なんだね。どういう人なの？」

『仕事が出来て、優しい憧れの先輩です。
アブさんに声と話し方が似ていて…』

「それはすごいね。彼に会ってみたいなぁ。」

セピアさんは先輩に興味を持ったようだ。
アブさんに似ていると言えばそれもそうか。

『それで先輩の友人でセピアさんに似ている方も見たんですよ。ほんとそ声がっくりで…
なのでセピアさんと話しててすぐに慣れちゃいました。』

「そ、そうなんだ。すごいね、なんかそんな偶然あるんだなぁって思った。」

『しかも猫好きっていうのも一緒なんですよ。あ、丁度その猫のストラップをカバンに付け…ていたんです。』

「……。」

私は自分で言ってて何かが引っかかった。
ここまで条件が揃うのは中々ない。
もしかして…と思い、私は聞いてみることにした

『あ、あの…もしかして瀬乃さんってセピアさんですか？』

セピアさんは黙っている。

「はい、俺が瀬乃です。貴方の先輩の虻川さんっていうのが…アブさんです。」

私はそれを聞いた瞬間、言葉が出なかった。

セピアさんと前から会っていたなんて…

先輩がアブさん…

「騙すような事をしてごめん。言ったら会ってくれなくなるんじゃないかって…」

私は心臓がどんどんうるさくなるのがわかった