＊この世で最も美しく、哀しくない話part６＊ (ページ6)

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和「････寒ぃな････」

ビュウ･･･と吹いた風が、薄手のニット姿の和也の細い身体を揺らす。

A「･･･冬服、とりにきたの？」

和「うん」

A「急に寒くなったもんね」

和「うん」

A「･･･そろそろ取りにくるかなって思って、先週の日曜日に全部干したよ」

和「そこまでしたなら俺んとこに届けに来いや」

A「･･･あんたんち知らないよ･･･」

和「教えてねぇもん」

A「･･･教えてくれてもいいじゃん････」

和「ヤダよ・笑」

A「･･･なんでよ」

和「今日来るかも、明日来るかもって思いながら暮らすのは疲れるからですぅ～」

A「･･･なにそれ･･･」

和「お前が思ってる以上に俺はお前が好きなんですぅ～」

A「･････なによぅ、それ･･･」

和「そういうことですぅ～」

A「･･･････なによぅ････」

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和也は、やっぱりいつもみたいに意地悪に笑う。

ハハ、と笑うその白い頬は初めて会った１８歳の頃から何も変わっていない気がする。

ツルツルな肌。

柔らかい髪。

薄い唇。

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だけど私にも和也にも、色々なことを乗り越えた日々があって、

乗り越えたことも、乗り超えられなかったことも、全部が今の私達を作っていて。

もうあんなに誰かを好きになる日は来ないと信じていた私に、

教えてあげたい。

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大丈夫。私は、生きてる。私は、人をまた、愛してる。

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和「寒いから早く帰るぞ」

和也が私を抱き締める。

A「････うん･･･帰ろう･･･」

一緒に、帰ろう。

その言葉にまた涙が滲む。

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和「今夜は鍋が食いたい」

A「うん･･･一緒に作ろうか･･･」

和「ん」

和也の唇が頬と、耳に伝っていく。

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和「嫁にきますか？」

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ポツリと耳元で囁かれた言葉に。

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私は「いってあげましょう」そう答えて。

和也が「貰ってあげましょう」そう答えて。

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ああ、また、世界が愛おしさで震える。