＊この世で最も美しく、哀しくない話part６＊ (ページ9)

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冷たい布団の中で触れる和也の身体は、じんわりと温かい。

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冬の夜の凍る音。

深く深く、密やかに、夜に堕ちていく。

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泣いて泣いて、汗がはり付いた夏の夜を、少しだけ思い出した。

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一瞬。

チヅルさんと、大野さんの、闇が見えた。

雅紀の、オレンジの光も、見えた。

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だけど和也の小さな小さな寝息が心に響いてきて

大丈夫。と思う。

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私は大丈夫。私は、私だ。私は今、幸せだ。

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本当に指一本触れてこないまま眠った和也の指をそっと握った。

そのまま眠りにおちていく。

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このまま、朝がこなくてもいいな。と思った。

私は、世界で一番幸せな眠り姫になる。そう、夢みがちに思った。

こんな甘い夢を抱く夜は。

もう、永遠に自分にはこないと思っていたのに。