＊この世で最も美しく、哀しくない話part６＊ (ページ21)

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････････そう言われたら確かにそうだ。

本社勤務じゃないことはとおーーい昔に聞いた気もするけれど

すっかりそんなこと忘れてた。

会社名がドンと出ているこのビルのことしか頭になかった。

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ずず･･･と鼻水をすする。

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和「だから～、本当ならお前はこの小奇麗なビルの前で植込みの中に

地蔵みたいに埋もれて、愛しい愛しい俺が出てくるのを何時間も待つ羽目になってたわけ」

･･･････地蔵て。

愛しい俺って。

愛しいけども。チクショウ。

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和也がハハ、と笑った。

和「たまたま俺がココに来てる時に、ココで会えたなんてすげぇことよ？」

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ああ。･･････その笑顔。

その、ちょっと意地悪く笑う笑顔。

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和「･････嫌なこと考えるより、その奇跡だけで充分だろ」

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恨むな。

憎むな。

笑っとけ。

和也の言葉がまた、心に、身体に染みて行く。

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和「･････嫌なこと見たらキリねぇけど、愛しい二宮和也様に会えた奇跡だけで

充分お前は幸せです」

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小憎たらしい愛しの二宮和也様は今日も相変わらずだ。

恨むな。憎むな。笑っとけ。

今日も相変わらず、私を救う。

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ぎゅう･･･ともう１度強く、強く、抱きしめられた。

和也の肩越しに、ポカーンと私達を見ている数人が見えた。

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和「俺は」

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和也の唇が耳に触れる。

熱い息が、少し掠れた声を、届けた。

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和「･････今、お前が相葉くんじゃなくて俺に会いに来たってことが

すげぇ幸せです」

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ああ。

和也。

私は。

この人を、絶対絶対絶対、大切にしようと、誓った。