＊この世で最も美しく、哀しくない話part５＊ (ページ8)

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和也の行動は早く、淡々としていた。

ここ数日。

仕事から帰ってくると、タバコを咥えて立膝でパソコンを見入っている。

後ろを通ると部屋の間取り図がいくつか見えて、不動産サイトを見ていることはすぐに理解出来た。

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A「和也････。ご飯出来たよ」

和「ん？んあ、サンキュ」

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机の上に置かれた素麺を見て「今日も素麺かよ～」和也が笑った。

A「しかも買い物行き忘れて薬味が何もない」

和「マジか・笑」

和也が笑いながら箸を持つ。

和「いただきます」

A「いただきます」

私達はずずーーーー･･･と素麺をすする。

さすがに薬味が何もないと飽きてくる。いや、毎日素麺だと飽きてくる。

A「和也さ、薬味、何が好き？」

和「お前、そういう薬味が欲しくなる質問やめろや・笑」

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ずずーーー････と素麺をすする音。

風鈴の音。

テレビの歌番組。

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和「A、夏バテしたら痩せれるのにな」

A「一向に衰えない食欲が憎いよ」

和「お前さ、何キロ？」

A「女の子に体重聞くなんて二宮くん最低だと思いまーす」

和「俺より重いだろ」

A「夢と希望が詰まってるんですぅ～」

和「ウンコと脂肪しか詰まってないだろうが」

A「食事中ですぅ～、二宮くん最低だと思いまーす」

和「薬味にハムが食いたい。お前のそのパンパンな二の腕くらいの太いハムが食べたい」

A「失礼だろ！」

和「うるせぇハム！」

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私達の夜はこうやって更けていく。

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ずずーーー･･･と素麺を啜りながら。

机の端に寄せただけのパソコンをチラ、と見る。

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和也が探している部屋の住所は、ここから駅２つ離れている街だった。

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離れていく。

和也が、離れていく。