＊この世で最も美しく、哀しくない話part４＊ (ページ4)

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熱い。

身体が、熱い。

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憎い。この女(ひと)が、憎い。

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熱くて壊れそうな身体が、

白い世界に包まれた。

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A「･･････････！！････」

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憎いと、叫びたい喉が、フワリと押さえられる。

そのまま、何かを叫ぼうとした私の唇に、冷たい唇が、触れた。

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A「････････････！！」

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驚きで、声が、止まった。

憎いと、雅紀を返してと、あの日々を返してと、叫ぼうとしていた声が、止まった。

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和也だった。

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和也が、私の身体を抱き締め。

暴れそうになる身体を抱き留め。

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憎しみを叫びそうになる唇を、唇で、止めた。

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私を抱き締めたまま、私の背中を、トントン、と撫でる。

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和「恨むな」

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和也の声が、耳元で、聞こえた。

ごうごうと鳴る風の音の向こうで、和也の声が、聞こえた。

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和「憎むな」

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私が夢で泣いたあの夜中に、私に告げた言葉をまた、和也がゆっくりと繰り返す。

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和「恨んで憎んで出た言葉は、結局自分を追い詰めるぞ、バカ」

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A「和･･･也･････っ。ううっ･･･････うう･････････」

ボロボロと溢れる涙と、声に答えるように、和也が

背中をトントン、とゆっくり撫でる。

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A「････だって････ううっ･･････うう･･･････」

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和「恨むな。憎むな。笑っとけ」

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和也が、耳元で小さく、強く、言った。

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和「大丈夫だから。ハイ、よーーし、よーーーし、泣いてろ泣いてろ」

背中を、トントン、とゆっくり撫でる掌。

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A「ううっ･････うう････うう･････････」

まるで子供みたいに。

ボロボロと涙が零れ、鼻水も零れ、声も、零れた。

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和「ハイハイ、ハイハイ、泣いて泣いて、最後に笑っとけ」

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和也の腕が、ぎゅう･･･････と私を抱き締め、

いつもみたいに淡々と、和也が言葉を繰り返す。

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和「憎むブスより笑うブスの方が可愛いぞ、A」