＊この世で最も美しく、哀しくない話part４＊ (ページ1)

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「･･････夫？」

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チヅルさんは和也の言葉に眉をしかめた。

そして和也と私を交互に見た。

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和也がチッと舌打ちする。

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和「ビックリした？コイツは別れた男のことをずーっとネチネチと思い続けて

そのまま死んでいくとでも思ってた？」

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そのまま、死んでいくと思ってたよ。

ううん、今も、そう思っているよ。

私には雅紀しかいなくて、忘れたくて、忘れられなくて、泣きながら

哀しいドアを開いた。

幸せになんかなれないって知りながらも、雅紀を求めた。

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「･････なにそれ････････」

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チヅルさんの目が大きく見開かれる。

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私は、チヅルさんが。

雅紀と私の関係を怒っているのだとしたら、それは理解出来る。

雅紀と関わること全てを怒っているのだとしたら、それは理解出来る。

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雅紀を愛していますか？

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その言葉の返事は、なかった。

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次に、チヅルさんが発した言葉が、さっきの私の言葉への返事だと、思った。

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「･･････あなたは、不幸じゃないの？なにそれ。雅紀がいなくても、

他に愛してくれる男がいるの？その男に守られて生きているとでもいうの？」

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抑揚のない、淡々とした言葉がチヅルさんの口から零れ落ちる。

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「なにそれ」

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「そんなの･･･････許さない」

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「私より、幸せになることなんて、絶対に許さない」

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心の奥で、何かが、溢れた。