＊この世で最も美しく、哀しくない話part２＊ (ページ10)

今日:10 hit、昨日:15 hit、合計:664,152 hit

３５ページ10

仕事が終わって更衣室に戻ると、タジマさんから

娘は微熱があるけど思っていたより元気そう。

ごめんね、ありがとう。というメールが入っていた。

仲睦まじい親子の空気が携帯からも滲み出ていて、温かい気持ちになった。

・

・

バス停まで歩きながら雅紀に電話をする。

長めの発信音。

肌寒い夜風に吹かれ、くしゃみが出た所で雅紀が電話に出た。

・

雅「A、終わった？お疲れ～」

雅紀の声の後ろは騒がしく、居酒屋かな？と思う。

雅「結局、送別会に連れて来られた笑」

ちょっと小声で、きっと苦笑いしてる雅紀。

・

・

A「……実は私に会いたかった、でしょ～笑」

ああ、付き合って何年もたつのに、私は雅紀が大好きだ。

雅「うるせーな、会いたかったよ、悪いかよ笑」

・

・

私も。

私もだよ。

私も、大好き。雅紀、大好き。

・

・

心の中で呟いた声はきっと、雅紀に聞こえてる。

・

・

・

雅「……明日、会えるもんな」

雅紀の声が甘く甘く柔らかく耳に届く。

・

・

A「ん」

・

・

・

明日の休みは何して過ごす？

映画行く？

あ、スーツ買いたいって言ってたね。見に行く？

私もたまには服買おうかな。

実は痩せたんだよね～……１キロだけどさ。

・

・

・

「相葉さーん、飲みましょうよ～」

雅紀を呼ぶ女の人の声がした。

私達は、じゃあね。と言い合い電話を切った。

・

休みに何する？

そんな会話はいつでも、いつまでも、出来ると

信じてた。私も、雅紀も。