＊この世で最も美しく、哀しくない話part２＊ (ページ7)

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答えが出ない私の腕をまた和也が引っ張る。

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和「相葉くん。なんで俺がココにいるのか、なんで俺がAの腕を

握っているのか、聞きたいことがいっぱいあるデショ？」

雅紀が和也を見つめる。

和「教えないよ？」

和也がニッコリ笑った。

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和「俺は相葉くんが色々想像して、最悪な想像をして落ち込んで、期待に溢れた想像して喜んで

答えのない葛藤に苦しめばいいと思っているからね？」

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微笑んだまま和也が言葉を続ける。

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和「･･･全部知って楽になりたいだなんて願うなよ？

全部捨てて楽になりたいだなんて願うなよ？」

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ふぅ･･･と和也が息を吸う。

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和「自分が楽になりたい為にAを使うなよ？」

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雅紀の瞳が少し歪み、それでも光は揺るがなかった。

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和也が私の腕をとったままスタスタと玄関へ歩いて行く。

鯛焼きの袋がカサカサと軽い音を立てる。

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玄関の小さな薄暗い街灯が淡くぼやける。

闇の中を照らす光はあまりに小さくて、私は道が見えない。

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雅「･･･おやすみ」

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背中で、愛しい人の声がした。

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たった４文字。それでも、愛おしくて愛おしくて、苦しい。

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振り返って抱きついてワンワン泣きたくて、でも出来なくて、

好きだと繰り返し告げたくて、でも出来なくて、

私はただ小さく頷くだけ。

おやすみ。

････声に出すな。

今、口を開いたら溢れる言葉は、きっと私も雅紀も救わない。

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私が玄関に入ったら和也が、後ろを振り向くことなくガラガラ･･･と

大きな音をたてて玄関の引き戸を閉めた。

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和也は相変わらず残酷で、それでも優しくて、

雅紀は相変わらず優しくて、それでもなんて残酷。