＊この世で最も美しく、哀しくない話part２＊ (ページ6)

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２年前のあの日に心が飛んで行く。

なにか１つでも違ったら、今も私は雅紀の横で幸せに生きているんじゃないかと

繰り返し繰り返し夢に見たあの日に、飛んで行く。

きっと雅紀も一緒なんだろう、と思った。

目の前の雅紀も苦しそうにどこかを見つめたから。

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そんな私達に和也がまた呆れ声。

和「とりあえず相葉くん、帰りな」

そして私の掴んだ腕を引っ張る。

和「お前も、家帰るよ」

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家の前で、私の腕を引っ張る和也の姿を、雅紀が見つめる。

何かを問おうとし、その権利は自分にないからと黙る。

聞いてくれればいいのに。

違うよ、この男とはなーーーんの関係もないよ、って言えるのに。

･････だけど雅紀は聞く人じゃなくて、私はそんな雅紀が好きだった。

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雅「････････突然来て、ごめんな」

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和也の視線に後押しされるように、雅紀が苦しそうに笑った。

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A「････ううん･･」

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そうだよ、何いまさら来てんの？と怒ることも出来なくて、

苦しいけど、答えなんてないけど、会えて嬉しかった。とも言葉に出来なかった。

何も言えず、また涙だけが一粒、転がり落ちた。

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風に吹かれた涙の粒だけでも、雅紀の横にいけるといいね。

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雅紀の身体に、触れれるといいね。

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小さな小さな涙の粒に、そんな夢を見る。

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だけど私達は気付いてしまったよね。

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今も、私はあなたが好きです。

・

･････････あなたのその瞳の奥と、その唇の奥も、同じ言葉を叫んでいると。

思った私は間違っていますか？

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・

雅紀には聞けない。

聞いたら、問うたら、私達は闇に堕ちていく。

・

和也のさっきの言葉が蘇る。

『嫁と子供から旦那と父親を奪う覚悟があんの？』

恐ろしい言葉。冷たい現実。

その世界に身を投げる覚悟が、私にある？