＊この世で最も美しく、哀しくない話part２＊ (ページ4)

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私が国試に受かり、就職先も決まった時。

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初めて２人で行った映画館の中で、あの時と同じように

エンディングの音楽が流れる中

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雅「･････結婚しよう」

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雅紀の、小さな小さな、声がした。

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あの時と同じように、

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雅「･･････結婚してください」

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丁寧に言い直した雅紀が、愛おしくて愛おしくて、私は泣いた。

雅紀も「泣くなよっ！もらうからっ！笑」と笑いながら少し泣いた。

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幸福の瞬間があるとしたら、あの映画館の、あの時だ。

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目の前の雅紀は、あの頃より大人びた。

大人びた･･･というのは違うのだろう。

私の知らない２年間を背負った雅紀だ。

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横で和也がフゥ、と大きなため息をつく。

和「A」

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名前を呼ばれて和也を見上げると、和也は白けた顔で私を見ている。

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和「お前が言って欲しいなら、俺は相葉くんに

『Aは俺の嫁なんで、今更ちょっかい出さないでくれます？

Aはあなたのことなんて忘れて、俺と超幸せに生きていますんで』

って言ってやるけど？」

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私は、何も返事出来なかった。

もう１人の私が、馬鹿！と怒ってる。

今だけでも和也の腕をとって「幸せです」って言えばいい、と怒ってる。

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ハァ･･･と和也が大きなため息。

和「じゃあこっちを言ってやろうか？

『Aは相葉くんのことが忘れられなくて、今も大好きで大好きで

相葉くんのことだけを考えて生きています』って言ってやろうか？」

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雅紀の表情が歪んだ。

後悔なのか、何なのか、私には分からない。だけど愛しい。だけど憎い。

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私、馬鹿だなぁと思う。

忘れる為に頭を打てばいいかなぁと思う。

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私の目からポロン、と涙がおちた。

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今も、雅紀が大好きです。と、涙が叫んでる。