＊この世で最も美しく、哀しくない話part２＊ (ページ24)

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ラーメンを食べ終わってトイレに行って･･･戻ろうとすると

カウンターに座る和也と翔くんが、何か難しい顔で喋っているのが見えた。

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･･････さっきまではあんなに笑っていた翔くんが、眉を顰めてる。

和也は口元だけ笑い、眉を顰めて何か翔くんに言ってる。

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翔「････んだよ、それ。ヤな女だな」

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私に気付かず、翔くんが小さな声で言った言葉で。

話の内容をある程度察する。

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和「そう？ヨメをヤな女にしてるのは相葉クンだと思うけど？」

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･･････和也の言葉は相変わらず正しくて残酷だ。

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和「俺なら嫁に心底惚れてまーす、昔の女なんてすっかり忘れました☆って

信じこませるけど？」

翔「････････」

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和「甘ぇんだよ。忘れる覚悟も、憎まれる覚悟もないのに、優しさや責任だけ

背負うのがいい人なワケ？」

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和也はゆっくりと振り返った。

翔くんが「あ」と驚いた顔で私を見る。

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和「お前も馬鹿だし甘いよ」

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A「･･･知ってる･･･」

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和「･････嫁と子供から相葉クンを盗る覚悟は出来たー？」

和也が冷たく私を見上げる。

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A「･･･わかんない･･･。怖い････けど」

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雅紀。･･････････私は、間違っているよね。

私達は、終わりにしたはずだった。

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カウンターに置いたままの私の携帯が♪♪♪･･････チカチカと光と一緒に音を鳴らす。

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和也がその携帯を腕を伸ばしてとった。

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和「着信･･･相葉雅紀」

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その名前を聞いただけで、心が震える。

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和「バッカだなぁお前」

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和也が携帯を私にトン、と突き出す。

翔くんが「いいの？」と私に聞いた。

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間違ってる。間違ってる。知ってる。

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「A････？」

電話の向こうに、雅紀の声。

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私を心配そうに見つめる翔くんと。

私を冷たく見つめる和也を、瞼の奥に押し込める。

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A「････雅紀･･･会いたい････」

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言いたくて言いたくて仕方なかった言葉が、２年ぶりに、声になって

あなたに届く。

私達は引き返せない闇に、堕ちていく。