＊この世で最も美しく、哀しくない話part２＊ (ページ22)

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翔「･････二宮くん･････」

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ラーメン屋の前で、翔くんが驚いた顔をした。

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和「あーん、櫻井くーん♪久しぶりー♪会いたかった～♪」

和也が翔くんにぎゅう･･･と抱きつく。

翔「ちょ、二宮くん！俺、君に色々聞きたいことが･･･！」

和「ああ、落ち着く。ああ、イケメン見ると落ち着く。俺、家でカピバラばっか見てるからさ～」

翔「！そのことだよ！聞いたんだよ、結婚したって？マジで？」

和「ああ、櫻井くんが女だったら俺、櫻井くんと結婚したかった」

翔「！しねぇよ！ちょ、離れろよ！周りが変な目で見てるだろ！ちょ、A！助けてよ！

なんで俺、男に抱きつかれてるの？すげぇ嫌！」

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和也が馬鹿で。

翔くんが真顔で嫌がっていて。

ラーメン屋は混んでいて。

トンコツにするか、醤油にするか、味噌にするか３人でメニュー見ながら迷って。

店員さんの「いーーーらっしゃいやっしぇーーーーー」が大きくて。

出てきたラーメンも大きくて。

熱々のラーメンを啜ると、鼻水が垂れて。

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翔「ああ、ああ、A、ハイ、ティッシュ」

カウンターに置いてあるティッシュを翔くんが取ってくれて。

和「クッソ汚ぇな～、お前帰れよ。俺は櫻井くんで遊びたいんだよ」

和也が舌打ちしながら言って。

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翔「俺は全然遊びたくない」

和「ねぇ櫻井くん、ラーメン・つけ麺・僕イケメン、ってやってよ」

翔「やらねぇよ！」

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私は何度もおしぼりで顔を拭いて。ティッシュで鼻水を拭いて。

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きっと顔はボロボロだったけれど。

カウンターで右に座った和也も。

左に座った翔くんも。

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何も聞かず、ただ馬鹿なことを言って(主に和也が)、笑っていてくれた。

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チヅルさんの声は何度も頭の中に蘇り、私の心をグサグサと刺したけれど、

それはもちろんとてもとても痛いけれど、

それよりも痛いのは

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雅紀。

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あなたは今、幸せですか？

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私は、雅紀が幸せでいてくれたらね、全部全部全部、どうにか飲み込んで生きていけるかもしれないと

思っていたの。

だけど、違うなら。

違うなら。

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私の中で、鍵が、外れる音がする。