＊この世で最も美しく、哀しくない話part２＊ (ページ18)

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A「私、今日、夕飯いらないから」

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朝。

和也と向かい合って食パンをカジカジ噛んでいる時にそう言ってから

A「ハッ！なにこの夫婦みたいな会話！」

自分で自分にガクガク震えた。

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和「夫婦じゃないか、ハニー」

A「怖っ！つーかアンタが毎日ここにいることが普通になってた自分が怖い」

和「お前が開かずの間にしてる西側の部屋に、俺の荷物が大量に

持ち運ばれていること知ってた？」

A「なにそれ！知らない！」

和「平日の昼間、お前がいない間にぜーーんぶ運んでおいた」

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マンションを引き払ったと言う割には和也が「引越し」らしきものを

しないから冗談だったのかなーなんて流していた私が馬鹿だった。

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和「自分が使う部屋と風呂とトイレと台所しか行き来しない、ズボラで

掃除もしないダメ女の隙をついた見事な作戦だろ☆」

A「く･･･くそぅ････」

和「で？夕飯いらないんだ」

A「あー、そうそう。今日、翔くんとラーメン食べに行くんだ」

和「新しい話題を振られたらすぐに今の問題を忘れるダメ女の

隙をついた見事な会話に案の定乗りやがったな」

･･････クッソムカつくな、こいつ。

転べ！どうせスマした顔して働いてんだろ。

スマした顔して転べ！そうだ、転んでケツ打って、ズボンがビリ！って破れて

そうだ、そのままオナラも漏れて「二宮さん、さいてーい」って女の子達に

笑われればいい！屁の宮さん、って呼ばれればいい！カッカッカッ・笑

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私の心の奥の屁の宮祈願を知ってか知らずか

和「････お前、悪いこと企んでいる時、鼻の下が伸びるよなー････」

和也が呆れ顔で言った。

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････････知らなかった。くそぅ！

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和「で、翔くんって、あの？イケメン弁護士だろ。久しぶりだなー」

A「最近会ったけど、やっぱりイケメンだったよ。あれだね、

本当のイケメンっていうのは優しいね。どこかの腐れ外道とは違うね」

和「優しいだけで生きる男が１番残酷だろうが」

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和也の言葉はいつも残酷で冷たくて。

やっぱりこの男は怖いと思う。