＊この世で最も美しく、哀しくない話part２＊ (ページ14)

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「････おい！･･････」

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「おいっ！」

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大声で泣き叫びたいのにうまく声が出ない。

身体が重い。

心が重い。

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私は、闇に堕ちていく。

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夢の中だけ？ううん、違う。

私は闇の中に堕ちている。きっと、２年前からずっと。

だって２年前からずっと周りは暗い暗い闇だったもの。

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夢の中で動かない身体が、突然揺さぶられた。

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和「おい！目ぇ覚ませ！」

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いきなり目の前に飛び込んできたのは和也の顔。

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和「････うなされ過ぎだよ、お前」

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暗い部屋の中、薄い布団の上に寝る私の横に

和也が胡坐をかいて座って、私を見下ろしている。

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A「･･････和也･････」

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背中をつぅ･･･と汗が流れるのが分かった。

前髪をかきあげると、額も汗でビッショリと濡れている。

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和「･･･うーん、うーん･･･ってお前･･」

和也がポリポリと後頭部を掻きながら小さく笑った。

和「なに。夢の中でまで便秘かよ・笑」

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腐れ外道は相変わらずムカつくことしか言わない。

掌で額の汗を拭きながら「･････私、快便だし」小さくそう答えると

和「知りたくねぇわ！笑」

和也がさっきより大きな声で笑った。

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寝ていたのに疲れきった身体。

心も、身体も、クタクタだ。

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和「Aのうめき声で繊細な俺は目ぇ覚めたわ」

A「････ごめん」

和「もっと謝れ。土下座して謝れ」

A「････ウザイ････」

和「心の声、漏れてんぞ」

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時計が今、何時を指しているのかは暗くて見えなかった。

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和「･････もう寝ろよ」

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A「･･･うん。･････････二宮くん？これ、何よ？」

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私の手を、和也の手が、握る。

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和「ん？････サービス？笑」

A「何様だよ」

和「二宮和也様だよ」

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和也がいつもの意地悪な顔で笑う。