＊この世で最も美しく、哀しくない話part２＊ (ページ11)

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夜１１時過ぎに電話をしたら、まだ騒がしい居酒屋の音が電話口から聞こえた。

A「大丈夫？飲み過ぎてない？」

雅「あー････結構キツイ。強い酒ばっか勧められてさー････」

お酒は好きだけど、そんなに強くない雅紀。

A「帰れる？」

心配になってそう聞くと「ん。ムラカミとタクシーで帰る･･･」ハァと大きな息を吐いて

雅紀が言う。

ムラカミくんはお酒にめちゃくちゃ強い。

ムラカミくんと一緒なら大丈夫かな。

･･････ムラカミくんちに泊まりになるかな、と思った。

過去に１回、飲み過ぎて帰れなくなった雅紀はムラカミくんちに泊まったことがあった。

「ごめん、俺が飲ませ過ぎた！！！」

ムラカミくんは二日酔いの薬を雅紀にいっぱい手渡しながら、迎えに行った

私にペコペコと頭を下げて謝り････

私と雅紀は顔を見合わせて苦笑いした、ことがある。

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A「気をつけて帰ってね？」

雅「ん。ごめん、心配かけて」

A「ホントだよ！笑」

雅「アハハ」

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夢の中で時計の針が回る。

夜中に一度、雅紀に電話をかけた。

帰れたかな？ムラカミくんちにいるのかな？

･････寝てたら気付かないだろうなぁ～････出ないかなぁ、そう思いながら

布団の中で携帯を鳴らす。

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何回かの発信音の後、通話中になった。

A「あ、出た。雅紀、大丈夫？」

思わず起き上がってそう聞いたけど、次の瞬間にはツー････ツー･･･ツー････と短くなり

液晶画面に「通話終了」の文字が出た。

もう１度かけると今度は「おかけになった電話は電波の･･････････」という

機械の声だけが聞こえた。

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酔っ払って寝てるだけ。

朦朧として電源切っちゃっただけ。

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そう思いながらも、心の中を鉛が溶けて流れてくる。

どうしてだろう。

この背筋が凍るような、身体が沈んでいくような、不安は一体何だろう？