＊この世で最も美しく、哀しくない話part２＊ (ページ1)

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出会いは１８歳。

毎週月曜・水曜・金曜。

地下鉄光が丘駅に８時１３分に着く。

駅の８番出口を出るとバスターミナル。

私の大学に向かうバスは３番のバス停。

バスを待つ列の正面には６番のバス停。

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大学生になって通学にも随分慣れてきた夏の始まりに

６番のバス停に並ぶあの人を見つけた。

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朝のバス停はいつも混みあっていて、大勢の学生の中でいつも楽しそうに笑っている雅紀を

遠くに見ていた。

秋のある日には、あ。あの人、髪切った。と思う。

冬の始まりのある日には、あ。あの人のコート可愛い。と思う。

週に３回の、ありきたりな通学風景の中の、同じ時間帯に見かける

Ｋ大学の学生らしき、あの男の子。

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２年生になっても週３回見かける彼に、あぁ卒業しなかったってことは

２年？３年？４年？かな。なんて思った。

いつも一緒にバス停に並んでいた友達たちは１限目の講義がなくなったのか

あの人は１人でバスを待っていることが多くなった。

いつも笑っていた人の静かな表情に、ドキン、とした。

だけどそれだけだ。

バスがやってくる。ぎゅうぎゅうに混みあったバスに乗り、大学に向かう。

その頃には今日見たあの人のことはすっかり頭から消えている。

テスト前は徹夜でフラフラだったし。

お酒を覚えてからは二日酔いでフラフラだった日もあったし。

日常は慌しくて、将来への期待と不安と、大学生という限られた時間と、

私の頭の中は色々なことでパンパンだった。

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３年目。

いつものようにバス停で彼を見つける。

同い年かな？なんて思う。

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もうすぐ夏休みという蒸し暑い朝、私はいつものようにバスに乗り込み、

ぎゅうぎゅうと押されて窓際に立った。

ブロロロロ･････といつものように走り出したバスが６番のバス停の前を通った時

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あの人と目があった。

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まるでスローモーションのように。

あの人の前を通っていくバスの中で、ずっとずっとずっと目が合った。