＊この世で最も美しく、哀しくない話＊ (ページ18)

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忙しいと分かっている翔くんを呼び出すのは気が引けたけれど･･･

相談出来そうな人は翔くんしかいなかった。

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『いいよ。Ａカフェに１８時でどう？』

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相談したいことがある、という私のメールに、翔くんからすぐに返事がきた。

相変わらずマメだなぁ･･･。

待ち合わせのカフェに入ってきたスーツ姿の翔くんを

周囲の女の子達がほう･･･とうっとり眺めるのがよく分かった。

昔からモテる人だった。

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翔「A、久しぶり」

ニッコリ笑う翔くんに「久しぶり。相変わらず眩しいねー、翔くん」そう言うと

翔「なんだよ、眩しいって・笑」

爽やかに笑い、翔くんがソファに座った。

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翔くんは高校時代からの友達だ。

といっても同じ高校ではなく、バイトしていた本屋で一緒だった。

しばらくお互いの近況を話す。

A「ごめんね。また仕事に戻る･･･んだよね？」

翔くんがこの時間に仕事が終わることはまずないはずだ。

翔「ん？いいよ、気分転換出来て助かる♪」

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聞きました？この爽やかな返し！この優しい返し！どこぞの誰か(二宮さんっていったかしらね？)に

見せてやりたい。聞かせてやりたい。

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翔「･･･で？どうした？なにかあった？」

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A「･･････私。結婚しちゃって」

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私の中の翔くんは、爽やかで、優しくて、とにかくよく出来た人だなーというのが

高校時代からのイメージだった。

弁護士になったのも翔くんらしい。と感心した。

さぞかし法廷ではイケメン弁護士として目立つだろうな、と思う。

とにかく「出来た男・翔くん」が、まさかコントのように飲んでいるアイスコーヒーを

噴出すとは思わなかった。

しかもその噴出したアイスコーヒーが、コントのように私にぶっかかるとは思わなかった。

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見たことあるわ、これ、志村がやってたわ。

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翔「うわ、わ、ゴメン！」

慌てる翔くんがゴシゴシと私の髪と顔を拭く。

近距離で目があった翔くんに「･････私、カピバラに似てる？」と聞くと

今度は翔くんがゲッホゲッホとむせ出した。

･･････似てるんかい。